約 525,945 件
https://w.atwiki.jp/truthmagical/pages/28.html
【ヘルゲイザー】 ファビア・クロゼルグに支給。 魔女箒(ウィッチブルーム)。ファビアの用いるデバイスである。 【セイクリッド・ハート】 高町ヴィヴィオに支給。 愛称「クリス」。ヴィヴィオ用におそらく製作された最新式デバイス。 おまけ機能として、単体で飛んだり動いたりできる。 言葉を発する機能はないようで、意志はジェスチャーで表現する。ヴィヴィオは意志疎通が出来ている様子。 ヴィヴィオの動きを真似していることが多い。 意志を伝えるジェスチャーやパントマイムの動作は豊富。 感情によって目つきも変化しており、ここから表情を読み取ることもできる。 外装オーバーコートがぬいぐるみなので濡れると飛べなくなるとクリス自身は主張している。 【アスクレピオス】 ルーテシア・アルピーノに支給。 グローブ型ブーストデバイス。ゆりかご起動後の決戦でクアットロの操作を受けて暴走したルーテシアがキャロと戦った際、限界を超えた負荷のためか破損している。補助系を得意としていたルーテシアの母・メガーヌも8年前に使用しており、スカリエッティが製作したデバイスというわけではないが、ルーテシアの手に渡る前に召喚補助向けの調整がクアットロによって施されている。 【レイジングハート・エクセリオン】 高町なのはに支給。 高町なのはのインテリジェントデバイスで、ヴォルケンリッターとの初回戦闘時の惨敗を受け、レイジングハート自らが望んでベルカ式カートリッジシステムCVK792-Aを組み込んだ後の形態。 【アスティオン】 アインハルト・ストラトスに支給。 愛称「ティオ」。 アインハルトのために八神家メンバーが製作したデバイス。 ユニットベースはリインが、AIシステムの仕上げと調整をはやてが、外装をアギトが製作した真正古代ベルカの特別機エクストラワン。 シュトゥラの雪原豹をモチーフにしているとのことだが、ぬいぐるみのような姿で「にゃあ」と鳴く。 その姿を見たアインハルト、ノーヴェ、チンクは、「猫?」と心の声でつぶやいている。 Memory;30では、ウェンディに、ねこにゃんと呼ばれていた。 【マッハキャリバーAX】 スバル・ナカジマに支給。 ローラーブーツ型デバイス。リボルバーナックルとのシンクロがされており、リボルバーナックルの収納・瞬間装着・カートリッジロードをマッハキャリバー側で制御している。 移動の際には脚力ではなく魔力で動作し、スバルの思考による操作で加速・停止などを行う。 【リボルバーナックル(右手用)】 スバル・ナカジマに支給。 スバルが右手に装着している「非人格式・拳装着型アームドデバイス」(公式ページ)。 リボルバー式カートリッジシステム付き。装弾数は6発で、全弾撃ち終わると弾倉ごと排莢してリロードする。 スバルの母親の形見で、元々は両手用で1対2個だった。 母の死後、スバルは右手用を使用している。
https://w.atwiki.jp/henroy/pages/475.html
悲しい叫び声、明かされる真実です!! ◆7pf62HiyTE PART.4 推測 「ちっ……胸くそが悪すぎるじゃねぇか……」 「花咲君、彼の話……ソレワターセ……」 「恐らく間違いありません……」 マッハキャリバーからもたらされた話は3人に大きなショックを与えた。 ある参加者と接触した時にラビリンスの幹部ノーザによってソレワターセを植え付けられスバル共々ノーザの傀儡人形となり多くの参加者を惨殺しその肉体を取り込んだのだ。 「なる程、未確認生命体を取り込んだからクウガの事も知っていたという事か」 「Yes...Goma, that is his name ...(はい……ゴオマ、それが彼の名前です)」 ソレワターセを介した事でマッハキャリバーも取り込んだ参加者の情報は得ていたという事だ。 「ん……そういや、名簿にそんな名前があった様な……」 「ズ・ゴオマ・グ……特徴的な名前でしたから私も覚えています。だとしたら……」 「同じ様な名前が後2つあったぜ……という事は……」 「未確認生命体は後2人いる……」 そもそもグロンギの名前を一条達は基本的に把握しておらず未確認生命体○号あるいはB○号という形でしか識別できていない。 「(彼の語った外見的特徴からゴオマはB2号の事だ……だとすれば残りの1人はB11号……では残る1人は……既に倒した未確認ならば良い……だがもし、今だ存在が確認されていない文字通りの未確認生命体で……B11号よりも遙かに凶悪な相手ならば……)」 「一条さん?」 「(いや、それ以上の脅威が迫っている現状ではさしたる問題では無い……)気にしないでくれ」 それを余所に良牙は頭を抱えていた。 「う゛ーん……ん、でもそれっておかしくねぇか?」 「何がです?」 「いや、ノーザってて女とアクマロって野郎がグルになったという事はわかったが……けどよ、そのソレワターセの主はノーザの方なんだろ? 確かソイツは……」 「ああ、最初の放送の時点で死亡が伝えられている。その話通りの出来事があったならばその戦いの後で彼女は殺された事になる。一体誰が……」 『……The person who was my partner .(……私の相棒『だった』人です)』 「(え? 過去形……?)」 キュアブロッサムの疑問を余所にマッハキャリバーは話を続ける。 「……ギャグ漫画か?」 「笑えないですよ」 要点を纏めるとこういう事だ、筋殻アクマロによってスバルとノーザに女傑族の惚れ薬を飲まされ、アクマロを守る為という理由で互いを潰し合わせ、その結果スバルにノーザを殺させる事に成功した。 その後、改めてソレワターセを植え付けられ、今度はアクマロの傀儡人形と化し、その時に自身は排出されたと語った。 「大体そんな惚れ薬なんてあるのか……」 「あるぜ。確か一瞬玉と一日玉、それから一生玉があった筈だ」 「一生玉ってまさか……」 「ああ、見た相手に惚れてずっとそのまま惚れ続ける奴だ……」 「一瞬と一日……一生……極端すぎますよ」 「そういう問題ではないと思うが……だがそうなると厄介な状態という事になるな……もし彼女が口にしたのが一瞬玉以外ならばソレワターセを浄化しても彼女は解放されない事になる」 「そうですね、良牙さん。それを直す方法は……」 「悪いが時間が過ぎる以外の方法は俺にもわからん……それこそ一生玉飲んだらどうにも……(そういや一生玉飲んだのはあのタコだった様な気がするが……あかねさんの言う通りあっちが一日玉だったのか?)」 その事を知る良牙が解説する事でいまいち信じがたいマッハキャリバーの話が事実である事を証明した。 「それから後の行動は知り得ないか……」 「だがそれならそれでおかしくねぇか? その話が確かならスバルってやつは……」 「ああ、五代が死んだあの戦いにいた緑色のドーパントという事になる。だがその時の状況を見る限り彼女は溝呂木を助けようとしていた。何故何時の間に主人が溝呂木にすり替わっている?」 「それに、その後の戦いでは今度は溝呂木の持っていたメモリを使って溝呂木のフリして襲っていた……それどころかアクマロの野郎が来たら、今度はアクマロに矛先を向けやがった…… いや、それ以前に五代が死んだ時の戦いでもアクマロの下僕って名乗っていた覚えが……どう考えてもおかしいじゃねぇか?」 疑問が渦巻く中、 「……いえ、恐らく……そう思い込まされていたんじゃないですか?」 つぼみはそのカラクリに気が付いた。 「少し話は前後しますが私がさやかに会った時、彼女は友達……マミさんとまどかと行動を共にしていると言っていました」 「ん、2人とも最初の放送で名前が呼ばれていなかったか?」 「はい……ですが私は確かにまどかの姿は見ました。今にして思えば彼女はソレワターセの力を使ってスバルさんが変身した姿だったと思います」 「じゃあ、マミの方はどう説明するんだ?」 「良牙さん……その時に話した際にマミさんに関しては溝呂木さんが自身をそう見える様に仕向けたという事で結論付けた筈ですよ」 「あ゛」 「大事な事忘れないでくれ……そうか、だとすれば……」 「はい、恐らくスバルさんも同じ事を……溝呂木さんが自身をアクマロさんだと思い込ませたのだと思います」 つまり、洗脳先が変更となったのではなく、変更先だと誤認させて主人として認識させたという事だ。。 「そして本物と遭遇した時はそれは偽物だから倒せと命じておいた……だからこそアクマロが現れた時は……」 「なんだそりゃ……聞けば聞くほど胸くそ悪い……無茶苦茶じゃねぇか、なんで彼女がそこまでヒドイ目に遭わなきゃならねぇんだ!?」 一方的に襲撃されたとはいえ、スバルの境遇を聞けば聞くほど良牙の中に強い憤りが渦巻いていた。 それも当然だろう、別の目的を持った複数の悪意、彼等の勝手でその都度彼女の意志はねじ曲げられているのだ。当然、彼女には何の利も無い。 クウガの仮面の奥で一条は静かに目を伏せている。 一条もまたその話に強い憤りを感じている。だが一方でそれが1つの現実だという事も理解している。 そう、現実ではそういう悪意に翻弄されて凶悪事件が起こる事など珍しい事では無いのだ。それは未確認生命体が存在しようがしまいが関係無い。 ある意味ではそれは人が人として生きていく以上、仕方が無い事かもしれない。 それでもだ、そんな救い様の無い世界でも、悪意だけしか無いなんて事は絶対に無い。唯々争いの無い世界を、そして笑顔を願う者だっているのだ、『彼』がそう信じていた様に―― 「これは私の想像ですが……スバルさんは本当にソレワターセに操られていたんでしょうか?」 その台詞に一同の頭に『?』が浮かんだ。 「何が言いたい?」 「いや、実際襲ってきただろうが……」 「あ、そういう意味ではなくて……正確にいうと……私が出会ったときにはそこまで強く支配されていなかった……そう思えるんです」 「あの時か……」 「私がさやかと行動を共にした時、まどかに変身して暫く行動を共にしていました。ただ……スバルさんの視点で考えた場合、私の正体に気付いている筈なんです」 「確か、ノーザを取り込んでいたという話だったからな……」 「だとしたら、真っ先に私を倒すべきだと思います」 「なる程……ソレワターセに対し、プリキュアの力は天敵……真っ先に警戒すべき相手だからか。ノーザを取り込んでいるならば尚更……」 「その時溝呂木をアクマロだと思い込んでいたのなら溝呂木に聞くまでも無いわけだしな……アクマロはプリキュアの力を知っているからな」 「ですが何故かそうはしないで、何時の間にいなくなって……」 「五代の所にいる溝呂木の所に向かった……」 「本当にソレワターセに支配されているならもう少し上手く動いたと思います。それと……彼女と最後に遭遇した時は……」 「頑ななまでに溝呂木の野郎になりきろうとしていた……けどそれはアクマロの野郎に惚れてたからじゃねえのか?」 「だからです。ソレワターセに憑依されているだけならばあそこまで感情的になるとは思えません。そもそもソレワターセに憑依されているならばそうそう簡単に溝呂木さんに操られるとも思えません」 これはさやかが溝呂木眞也に洗脳されていたとしても、その根底までは歪められていなかったとつぼみが判断した事による推測だ。 溝呂木の洗脳は人の心の弱い部分を付くというある意味比較的単純な方法だ。 ならば、ソレワターセが強く支配しているならばそれも早々上手くはいかないだろう。 「あの最期の瞬間……『ティア』……恐らく彼女の仲間であるティアナ・ランスターの危機に対し遂に呪縛を打ち破り……」 「だから、惚れ薬の効果についてはわかりませんが、ソレワターセの洗脳に関しては大分弱まっていたと思います。」 「けどよ、そもそもどうやってソレワターセの洗脳を打ち破ったんだ?」 「簡単です、スバルさんの心がずっとソレワターセと戦い続けていたんです」 ほんのちょっとした事、僅かな隙だけで人の心は簡単に闇に染まる。それをつぼみはプリキュアとして戦っている間に幾度となく見てきた事だ。 だが、つぼみに言わせれば所詮それはほんの少し心の花を萎れさせただけに過ぎない。 人の心はそこまで弱いものじゃ無い、例え弱くても幾らでもほんの少しの切欠で無限に強くなれるのだ。 加えていえばマッハキャリバーから聞いたスバルの性格は非常に正義感の強い、他者のために平然と自身を犠牲に出来るタイプのものだ。 そんな彼女がそう容易くソレワターセに支配され、悪意のままに操られるとは到底思えなかった。 「だからきっと……(あれ? でもそれだと……)」 自身の仮説を説明しつつもキュアブロッサム自身、その仮説の穴に気が付いた。そして一条もまた、 「(そう……想像による部分も多く、都合の良い解釈も多いがその可能性はある……いや、きっとアイツもそう信じているだろうし、何より私もそれを信じたい…… だが……その仮説には致命的な穴がある……それならホテルでの戦いでももう少し抵抗出来ていた筈だ……にもかかわらずそこでの結末は最悪なもの……)」 スバル自身の心の強さが抵抗できていたならばホテルでの戦いでも十分抵抗できた筈なのだ。 あの場には彼女の尊敬するなのはもいた、浄化とまではいかなくても十分対応出来ただろう。 「(ノーザがいたからできなかった……いや、主人の有無ではない)」 そう、自分達が遭遇した時はアクマロだと思い込んでいる溝呂木が近くに潜んでいた。故にこれは違う、 「(ソレワターセ自体の弱体化……いや、むしろ強化されている筈だ)」 自分達が遭遇した時は新たにソレワターセが植え付けられていた、2体分となった故にむしろ強化されている筈なのだ。 「(だとすれば……ソレワターセの呪縛を強化する『何か』があったのか……恐らくそれはアクマロもノーザも溝呂木も……誰も気付いていない『何か』……)」 そんな一条を余所に、 「言われてみればそんな気もするが……けどよ惚れ薬の効果はそんなもんじゃ……」 「あの、それなんですが……スバルさんは自分からそれを飲んだんじゃないんでしょうか?」 「は? 何言ってやがる。あの時点じゃノーザの方が主人だろ、なんでアクマロから得体の知れないものを飲むんだ?」 「それは……ノーザを打ち破る方法がそれしかなかったからです」 「アクマロがノーザを出し抜こうとナカジマに惚れ薬を飲ませようとした、それに気が付いた彼女はその策に乗って……」 「確かにあの惚れ薬を飲めば出来るだろうが……だがそんな事をすりゃ……」 そう、惚れ薬の強力な効果はその騒動に巻き込まれた良牙自身も理解している。 だが、強すぎるからこそそのリスクもわかるのだ。 「スバルさんの姿を見て気が付きませんでしたか……あれだけ傷ついた姿……多分……ソレワターセが無ければとっくに……」 今にして思えば、彼女の姿は余りにも痛々し過ぎた。外見を幾ら誤魔化しても流石にわかる、あまりにも傷つきすぎていた―― アクマロとウェザー・ドーパントの雷撃によるダメージでは考えられない程の―― 「!! まさか……」 流石に良牙もそれに気付いた。 「自分の身を犠牲にしてでも支配から抜け出そうとしていたっていうのかよ……何でそんなマネを……」 「簡単だ……自分の命よりもみんなの笑顔が大事だったからだ……自分が笑顔を奪うだけの怪物になるぐらいならば……」 「そんな……じゃあ、俺達を襲ったのは全部……倒される為……」 「勿論、溝呂木さんの命令に従ったというのもあると思います。でもきっと……心の何処かで倒してくれる事を望んでいた……私にはそうとしは思えません……」 「フザケんじゃねぇ……そんな方法でしか助けられねぇなんて……余りにも哀しすぎるじゃねぇか……なぁ、一条、つぼみ、教えてくれ! なんでそんな事になっちまったんだ!? アイツが何かしたっていうのかよ!?」 結局の所、スバルのやろうとした事は戦いの果てに死を迎える事だ。 しかしそれは互いに死力を尽くし殺し合い散っていった村雨と大道のそれとは違う。 2人は戦いの中で『死』を近くに感じるからこそ初めて『生』を実感出来ていた。つまり彼等もまた生きるために戦っていた。彼等にはそれ以外に術がないからこそそういう手段しか取れなかっただけの話だ。 だが、スバルのやろうとしたことは全く違う。生きる為ではなく、完全に死ぬ為だ。 そもそも彼女には他に生きてやりたい事があった筈だ、こんな理不尽な事でそれが奪われて死ぬ必要なんてない。何故、死ななければならなかったのか? 良牙は叫ぶ―― だがその問いに答えられる者は誰もいない―― 幾ら仮面ライダーやプリキュアでも神では無い、どれだけ強く望んでも限界はある―― いや、それはそもそも――どれだけ力があっても、逆に力が無くても関係無い事なのかもしれない―― とはいえ――何時までも嘆いている時間は無い。 故に早々に荷物を回収し移動を再開しなければならない。 「ん、まさかコイツは……ちっ、バラゴの野郎……厄介な事を……」 と、水の入った容器を開けてその中身を捨てていく 「あの良牙さん、水は貴重ですから捨てるのは…………」 「ああ、普通の水だったら俺だって捨てたりしねぇよ……」 と、良牙は側にあった2つのものを見せる。 「名簿に……地図……もしかして!!」 そう、それは呪泉郷の顧客名簿と地図だった。 「という事はあの人が……」 「ああ、先に行ってコイツを持ち出したらしい……この地図がありゃ呪泉郷で時間を掛ける事も無かったのによぉ……」 「………………良牙さんの場合、あっても難しい気が……あ、それじゃこの水は……」 「呪泉郷の水だ、自分で使う為に名前も書いてある……」 「……手伝います」 「おっ、悪いな」 数時間前に呪泉郷の恐ろしさを身を以て経験した以上、この水が使われる事は避けなければならない。 「あっ、でもこれとこれは持っていった方が……」 「娘溺泉と男溺泉か……けど俺にはもう必要ねぇし、それにもう……」 良牙の知る限り、最早呪泉郷による特異な体質になった者はいない筈。故に元に戻る為に必要な男溺泉及び女溺泉は必要無い。 「でもあのアヒルさんの様な人に会わないとは限りませんし……」 「それもそうか……使う機会なんぞなきゃいいけどな……」 と言いつつ、2種類の水を捨てずに仕舞う。 「これは必要無いですね……あれ……」 その最中、良牙がある容器の水を捨てずに懐に仕舞うのを見た。 「あの、良牙さん……今の……」 そう聞こうとした矢先、 「……マッハキャリバー、君はまだ何かを隠しているだろう?」 一条がそう口にした。 「...!!」 「え? 隠しているって……?」 「おいおい、大体のいきさつは聞いた筈だろ、ソレワターセを植え付けられた後、良いように操られ人殺しの道具にさせられていたって……」 「いや、1つだけ聞いていない事がある……マッハキャリバー、君達にソレワターセを植え付けられた後、最初に殺害し……取り込んだ参加者は誰だ?」 「「!!」」 その指摘に空気が一瞬凍る。 「………………ならば私から答えを言おう。違うならば違うと言って構わない……その人物は………………シャンプーだろう?」 その瞬間、良牙が手に持っていた容器が落ち、その中身がこぼれていった。 その容器のラベルには『猫溺泉』と書かれていた―― 「...Yes. Mr.Kaoru...(その通りです。薫さん)」 「え……でもどうしてそれがわかったんです?」 そう言いながらつぼみはマッハキャリバーを出す。 「実を言えば出会った時から彼の態度には引っかかる所があった……彼は私と花咲君を何処か警戒していた所があった。もっとも、花咲君については声が知り合いに似ていたらしく警戒よりも驚きがあった様だが……」 「声の事はともかくとして、確かに……」 「それは恐らく彼がノーザとB2号を取り込み敵であるクウガとプリキュアの情報を得ていたからだろう」 「それに、私達の仲間である鋼牙さんが私と声が似ているフェイトさん……彼女を殺したから警戒をしていた……」 「その通りだ、だが……響君の姿を見たとき、彼は一瞬言葉を詰まらせていた……動揺していたのか……どちらにしても私と花咲君とは違う反応だったのは間違い無い」 「でもそれだけじゃ……」 「勿論、その時は確信を得ていなかった……確信を得たのは……彼の話の中で『女傑族の惚れ薬』を飲まされた事を聞いた時だ」 「え? どういう事です?」 「私もそうだが花咲君も最初はその存在について否定的だっただろう」 「はい……あ!」 「だが、響君はすぐさまそれを肯定し詳細まで説明してくれた、つまり、それは響君の世界に存在するものだという事だ」 「ですが……」 「花咲君、君はさっき『スバルさんは自分から惚れ薬を飲んだ』と言った……だがそれは本来ならばおかしい事だ……何故彼女はそれが惚れ薬だとわかった?」 「そういえば……」 「その薬が毒薬である可能性もあった筈だ、だが毒薬ならばソレワターセが摂取させる事を許すわけがない。つまり……ソレワターセが確実に惚れ薬だと把握していなければそれは成り立たない 一体、何処で惚れ薬の情報を得た? ノーザを殺害する以上、その情報をアクマロが事前に漏らす事は無い……だとすれば、アクマロがそれを提示する前に情報を得なければならない……その方法は只1つ……」 「殺して取り込んだ参加者からその情報を得ていた……ですか?」 「そうだ、しかしそれを知る人物は響君の世界からの参加者しかいないんだ……」 「最初の放送の段階でそれに該当するのは……たったの1人……」 「そう、そしてB2号を取り込んでから後に取り込んだ人物の中にはいなかったとするならば……それが出来たタイミングは1つしかない……」 そう話している2人を余所に、良牙は身体を震わせながら、 「そうか……大道と良の戦いの時に夢でアイツに会った……その時にはもう死んでいると聞いたが……テメェがやったんだな!」 怒りの感情を込めてつぼみからマッハキャリバーを取り上げ言い放った。 別に仇討ちを考えていたわけではない。だが、目の前に仲間を殺した奴がいるとなれば流石に黙ってはいられない。 恨み言の1つも言いたくはなる。 「落ち着いて下さい良牙さん! 忘れたんですか、あくまでもそれはソレワターセの……」 「んなこたぁ俺だって判ってる……けどよぁ……!」 わかっている。マッハキャリバーには何の罪も無い事ぐらい。全て悪いのはソレワターセを植え付けたノーザだ。 やりきれない怒りは残るがそれを身体を震わせながら耐えようとする良牙だったが―― 「Ms.Shampoo was killed of my will(シャンプーは私の意志で殺した)」 「「!?」」 「今、何て言いやがった……!?」 「It was said that Ms.Shampoo was killed of my will(シャンプーは私の意志で殺したと言った)」 その言葉に衝撃を受ける2人、 「え……? どういうことですか? ソレワターセの所為の筈じゃ……」 「やはりそういう事か……」 一方の一条は驚きはしたもののある程度読んでいた様だった。 「She doesn't hear persuasion of ma……Ms.Subaru, it tried to kill Ms.Subaru for a one-sided reason(彼女はマ……スバルの説得も聞かず、一方的な理由でスバルを殺そうとした)」 「くっ……そういや確かに乱馬の為に殺し合いに乗っていたって言っていたが……だがちょっと待て、テメーの言い方だとソレワターセ関係無しに殺したって事じゃねぇか!」 「そうです……そんな事あり得ません! だってマッハさんがそれをする事をスバルさんが望むわけが……」 「Yes...Therefore, I governed Ms.Subaru's will(その通り……だからこそ私はスバルの意志を支配した) ...and Ms.Subaru was treated as a tool for Noza(そして、スバルをノーザの為に道具として扱った)」 その言葉に思わず良牙はマッハキャリバーを落としてしまう。 一体何を言っているのだ? これではまるで、 「テメェ……自分が何をやったか判ってるのか!? テメェは自分の相棒を裏切ったんだぞ!?」 「そうです、ソレワターセの支配に抵抗できなかっただけですよね!? そうだって言って下さい!」 「...I am common machine , I don't have the heart(私は只の機械、私に心は無い)」 「(そう、だからこそ……彼女は支配から抜け出せなかった……彼女自身の相棒がそれを阻害していたからこそ……)」 PART.5 真実 スバルにこの殺し合いで何が起こったか、それに関しては何度となく語られているわけだが、 今度はこれをマッハキャリバーの視点も交え振り返ってみよう。 当然の事ではあるが、マッハキャリバーはスバルを全力でサポートする事が目的であった。 さて、この地に来てから早々にシャンプーに襲撃されたのは周知の通り、無論殺し合いを良しとしないスバルは彼女を説得し止めようとした。 が、シャンプーは一向に話を聞くこと無く、スバルを仕留めようとした。 ここでマッハキャリバーの視点で振り返ろう。マッハキャリバーはスバルの目的を果たす事を優先する。つまり、シャンプーを殺す事無く無力化させる事だ。 ところが、純粋な格闘技術だけでいえばシャンプーのそれはスバルと比較してそこまで劣っているわけではない。真面目な話をすれば加減して勝てるような甘い相手ではない。 また、仮にここで運良く無力化出来ても何かの不意を突かれれば簡単に出し抜かれスバルの方が討たれる可能性が高い。 つまり、マッハキャリバーはこの段階で最悪シャンプーを再起不能なまでにダメージを与える必要があると判断していた。 しかし、スバルはそれを良しとしないのは明白、故にこの事はマッハキャリバーの内だけで完結する筈だった。 が、スバルに植え付けられたソレワターセの存在がその状況を覆した。 ソレワターセによってスバルは精神を支配されそのままシャンプーを殺した。 しかし、この時点ではノーザもその意図はあったのだろうがまだ明確な命令を出してはいない。 だが、ソレワターセは恐るべき程迅速にシャンプーを惨殺した。何故、無差別に暴走するのではなく明確に狙った殺害を行えたのか? それに、幾らソレワターセの支配力が強くても、一般人ならいざ知らずスバルがそこまで簡単に堕ちるものなのか? 完全に堕ちるまでにシャンプーによる撃破、あるいは撤退する余裕ぐらい出来てもおかしくはない。 ここでマッハキャリバーの存在が重要になってくる。スバルに植え付けられた段階でマッハキャリバーもソレワターセと一体化する事になる。 スバル自身は必死の抵抗を試みるがマッハキャリバーは機械であるが故にそこまで抵抗する精神を持っていない。 そう、マッハキャリバーはすぐにソレワターセの悪意に堕ちていたのだ。 そして未だに抵抗を続けるスバルに迫る脅威、それを察知したマッハキャリバーは自身と相棒の身を守る対応した。 封印していた思考――再起不能なまでに潰すと。 ソレワターセによって一体化していたが故にスバルの抵抗も簡単に振り切れる。 それにより惨劇は起こり。それによりスバルを踏みとどまらせていたものは完全に崩れ去った。 結果、精神に致命的なダメージを受けたスバルはほぼ自失状態となった。そして彼女はほぼ完全にソレワターセに支配された。 さて、その後はノーザを主人とするわけだが、スバルはそれを受け入れつつもソレワターセの支配から抜け出そうとしていた。 だが、マッハキャリバーはそうではない。ノーザを完全に主人と認め、それに反逆するスバルの意志を押さえつけた。 ホテルでの戦いの前、マッハキャリバーは何の疑問も無くノーザに助言をしていた事からもそれは明らかだ。 つまり、スバルが必死に抵抗してもマッハキャリバーの妨害によりそれは阻止されたのだ。何としてでもノーザの為に働いて貰うと、抵抗は許さないと。 奇しくもそれはスバルの言葉通りマッハキャリバーに心が生まれていた。だがそれは邪悪なものとなっていたのだ。 何時の間か、マッハキャリバーはスバルを邪悪な意志で支配していたという事である。 そしてホテルでの惨劇、特になのはを自らの手で殺させた時もそれが最良の結果だと全く気に留めなかった。それに最早良心の呵責は存在しない。 無尽蔵に参加者の意志を取り込み、魔女の為に働く忠実な人形、世界に不幸をもたらす事はマッハキャリバーにとって至極の悦楽となっていたのだろう。 だが、マッハキャリバーは見落としていた。それでも決して壊れない、心の力を―― 全てに絶望し諦めながらも何とかこの状況を脱却したいとスバルは僅かに残った良心は抵抗を続けた。 しかし、どうしてもそれは叶えられなかった。どれだけ抵抗しても阻止されてしまう。一番の相棒に裏切られている事に気付く事無く―― せめてノーザに一矢報いる、それすべく無意識下で足掻いていた。 が、奇しくも機会は訪れる。アクマロが取り出した謎の薬。シャンプーを取り込んだお陰でそれが惚れ薬だという事は理解出来た。 アクマロは何故かそれを飲ませようとしている。 アクマロの真意は不明、だが恐らくは自分をアクマロに惚れさせようとしている事は理解出来た。 ソレワターセはそれに何の意味があるのか理解出来ていない。故に拒否する事はしない。 だがスバルは薄々感づいていた。これを使えばノーザの支配から抜け出せる可能性があると。 だが、惚れ薬の効果次第では自分が自分で無くなってしまいかねないリスクが――いや、もうそんなリスクなんて存在しないのと同じだ。 このまま、何も出来ない自分の意志を残すよりも、自分の意志を消してでも何かを成せる可能性にかけたのだ。 その結果は周知の通りだ。アクマロに惚れたスバルの意志はソレワターセの強靱な支配を超えてノーザを仕留めるに至ったのだ。 一方のマッハキャリバーはそんなスバルの行動に完全に失望した。そこまでしてノーザに刃向かうのかと、自滅してまでも刃向かうのかと。 自身の破損もあってか一時的に機能停止、消えゆく意識の中、スバルは最早使えないゴミだと判断していた。 そして、アクマロによって2個目のソレワターセを植え付けられたスバルは取り込んだ参加者の首輪と共にマッハキャリバーとレイジングハートを排出した。 支配を受けるのは自分だけで十分、相棒達までその手を汚させない為に―― 最後まで相棒が裏切っていた事に気付かずに――彼女は相棒を解放したのだ。 その後もアクマロの支配を受けたスバルはその命じるがままに戦うがその戦果は散々だった。 溝呂木の力であっさりアクマロだと思い込まされ。 それに命じられるままに戦いを繰り広げたが何れも散々、 ホテルで猛威を誇った最強最悪の怪物の姿はそこには無かった。 そう、マッハキャリバーを失った時点でこの結末は必然だったのだ。 そもそも、この状態でもスバルは内心では抵抗を続けていた。支配を強化するものがなければ内部はガタガタ、一般人ならいざ知らず歴戦の戦士を相手に出来る道理は無い。 とはいえ、既にスバルの精神はほぼ抜け殻の様に壊れきっていた。それ故、支配から脱却する事は出来ず、ティアナ・ランスターの危機を目の当たりにするまで正気に戻る事はなかった。 そう、最後に彼女を救ったのは他でも無いティアナだったのだ。 彼女は無力感から来るコンプレックスから自分の意志で堕ちた。それでも成果は何もあげられなかった。 だが、そんな彼女の存在がスバルを数多の悪意による支配から救い出したのだ。 それは今となっては誰も知らない物語―― 閑話休題、一方で解放されたマッハキャリバーは比較的早く意識を取り戻した。 ソレワターセから切り離されたお陰で正常な思考に戻ったが、 自身の行動を思い返し戦慄した。 惨劇を起こしたばかりか、抵抗を続ける相棒を押さえつけ望まぬ惨劇を起こさせていたのだ。 そして、使えないと相棒に対して失望。 『(What was I doing ...!?)(私は何をやっていたんだ……!?)』 ソレワターセに操られていて正常じゃ無かった? では、それをスバルに伝えてスバルは納得するのか? いや、絶対に納得などしない。 何より、マッハキャリバーは抵抗すらしなかったのだ。それだけで十分な罪悪だ。 いや、それどころか嬉々として惨劇に荷担していた自分は本当に操られていたのか? そんな疑問すら生じるのだ。 そもそもシャンプーを殺したのはある意味自分の意志じゃなかったのか? 『(Is this my heart...? )(これが私の心……?)』 相棒はAIにも心があると言った。だが、 『(It did not want, if this was the heart !!)(こんなのが心ならば、私は欲しくはなかった!!)』 声にならない慟哭だ。 『(I do not have the qualification for being a master...)(私にはマスターでいる資格がない……)』 そして、傍らでレイジングハートはフェイトを殺したらしい鋼牙への憎悪を口にし続ける。 『Kouga, I will never forgive you.』 それはまさしく自分に向けられた言葉だった―― 『Mach Calibur, I will never forgive you.』 そして、バラゴとレイジングハートがこの場から去った後現れた3人、 ノーザが警戒していたプリキュアの一人で何故かフェイトと声が似ている者、 ゴオマが宿敵と認識していたクウガ、 そして――シャンプーの仲間で、シャンプーの死を利用して自ら絶望させようと目論んだ良牙、 審判の時が訪れたのを予感した―― PART.6 審判 「そうか……テメェの言いたい事はわかった……」 身体を震わせ良牙がマッハキャリバーへと向き直る。 マッハキャリバーは意図を察し、収納していたリボルバーナックルを取り出す。 「何のマネだ、そいつは……」 「It is not related to me who am the arms of Ms. Subaru. (それはスバルの武器です、私とは関係ありません)」 「!! まさか……」 「良い度胸じゃねぇか……」 と、ゆっくりとマッハキャリバーへと迫っていく。 「安心しろ、指1本で終わらせてやるぜ……」 爆砕点穴、相手の爆破のツボを突く事で文字通り爆砕する技である。工事用の技故に人体には効果は無いが物体であるマッハキャリバーならば十分効果がある。 「早まらないで下さい、良牙さん!」 「そうだ、今更そんな事をしても……!!」 「そんな事ぐらい俺だって判ってる!! けどよぉ……シャンプーを殺しただけじゃなく、それを利用して俺や乱馬にあかねさん、それにパンスト太郎をハメようとしやがった……もしあかねさん達が出会っていたら……そう考えたら……」 「だが、実際にそうはならなかった……」 「それだけじゃねぇ……あの子……スバルはずっとシャンプー達を殺した事をずっと苦しんでいたのにコイツはそれを嘲笑っていやがった……大事な相棒に裏切られていたんだ! 絶対に許せねぇ……」 「でもそれはソレワ……」 「わかっている……だがな、それでも腹の虫が収まらねぇんだよ……!」 結局の所響良牙という人間はつぼみや一条ほど正義感があるわけではない。 この地にきてもせいぜい仲間や友人を守ってケンカ売ってきた元凶をぶちのめすぐらいの考えしかなかった。 だが、目の前で自分達と同じ、あるいは少し若い者達が苦しみ傷つきそして死んでいくのをみて黙っていられるほど冷徹では無い。 また、起こってしまった事を仕方の無い事だったといってすっぱり水に流せるほどドライでもない。 次から次へと起こる惨劇に散っていく者達、それで何度『何でコイツが死ななきゃならない?』と思った事か。 何度『もう少し上手くやれば死なせずに済んだんじゃないか?』と思った事か。 目の前に惨劇の引き金となった者がいる、そうなれば流石に黙ってはいられない。 無論、今のマッハキャリバーを壊す事に意味などない、言うなればこれは只の自己満足の為の八つ当たりだろう。 スバル達に起こった悲劇に対する怒り、それに対して何も出来ないでいる自分への憤り、それが良牙を突き動かしていた。 「ダメです……そんな事をしたら……」 つぼみは力尽くでも止めるべく駆け寄ろうとする。しかし、何かが良牙から浮き上がったと思ったら次の瞬間、強い重力がのしかかる。 「これは……?」 「身体が重い……」 獅子咆哮弾――負の感情による重い気を放つ技だが、その究極は重い気を上方に放ち、その重い気を広範囲に落とすというものだ。 良牙は自身の中に募った負の感情を獅子咆哮弾という形で放ち、止めようとするブロッサム達の足を止めていたのだ。 「良牙さん……余りにも哀しい力に感じます」 「そうだな……くっ、私はこうするつもりじゃ……」 一条がマッハキャリバーの隠していた事を暴いたのは、溝呂木などといった参加者によってその真実がねじ曲げられ悪用される事を恐れただから。 既にレイジングハートがバラゴの悪意に踊らされている以上、不安要素は減らしていかなければならない。 中途半端な事は出来ない、それ故の追求だった。だが、 「五代……私はあまりにも無力だ……お前が守ろうとした笑顔を私は……」 それでも起こる惨劇は止めなければならない。クウガの力ならば十分動ける範囲だ。 だが、少々距離が開きすぎている。指一本で終わらせられる故に良牙は既に射程内。対し2人が踏み込むには一手遅れる。 「終わりだ……爆砕点穴!!」 そして、指をマッハキャリバーへと――後、数センチの所にまで――そして、 『お願い!! 壊さないで!!』 爆ぜた。 時系列順で読む Back 哀しみの泣き声、ふしぎな宝石を見つけました!!Next 響く歌声、空色の約束を交わします!! 投下順で読む Back 哀しみの泣き声、ふしぎな宝石を見つけました!!Next 響く歌声、空色の約束を交わします!! Back 哀しみの泣き声、ふしぎな宝石を見つけました!! 花咲つぼみ Next 響く歌声、空色の約束を交わします!! Back 哀しみの泣き声、ふしぎな宝石を見つけました!! 一条薫 Next 響く歌声、空色の約束を交わします!! Back 哀しみの泣き声、ふしぎな宝石を見つけました!! 響良牙 Next 響く歌声、空色の約束を交わします!!
https://w.atwiki.jp/kskani/pages/459.html
なるか脱出!? 神社の罠(後編) ◆YsjGn8smIk 「ほう、私の一撃を食らって生きていたとはな。そうか、そういえば貴様も戦闘機人だったな」 ギュオーがそんな言葉を漏らすが、それに返事をする余裕なんてスバルにはなかった。 キョンの悲鳴を聞いて意識を取り戻しのだが、咄嗟に撃った魔法が当ったのは奇跡に近い。 視界が揺れ、ふらつく身体に何とか活を入れる。 (痛っ~……!) 木の幹に強かに叩きつけられたせいで背中が酷く痛んだ。でも背骨が折れていなかっただけ幸運だったのかもしれない。 それほどギュオーの一撃は凄まじかったのだ。 「く、ちくしょう!」 スバルがギュオーと睨みあって出来たその一瞬の合間を拾い、キョンが駆け出す。 神社の外を目指して一目散に。 「ええい、往生際の悪い! 逃がさんといってるだろうがッ!!」 ギュオーが咄嗟に重力指弾を放とうとしたが、その隙を逃すわけにはいかなかった。 「うおおおおおおおおおっ!」 スバルは残った力を振り絞って真正面から飛びかかった。 そして叫びながら全力で打ち出したスバルの右拳が今度こそギュオーの顔に突き刺さった。 「お……のれッ!」 だがギュオーは顔面を歪ませながら僅かに後退しただけだった。 そしてその巨体から繰り出される拳をなんとか避けながらスバルはうしろへと大きく跳ぶ。 信じられないタフネスだった。 しかしキョンにはそれで十分だったのだろう。 スバルがちらりと視線を動かすと、キョンはすでに神社の境内から姿をくらませていた。 「そんなに先に死にたいのなら、望みどおり貴様から先に殺してくれる!」 獣神将のその殺気に押され、一歩だけ後ずさる。 だけど、なんとかそこで踏み止まる。身体は既に限界に近い。 時間をかければかけるだけ勝率が下がっていく事をスバルは悟っていた。 故に――狙うは一撃必倒。 (接近してバリアブレイク、そのままディバインバスターでノックダウン……それに賭けるしかない) それにはデバイスの――レイジングハートの協力がどうしても必要だった。 スバルはそっとレイジングハートに問いかける。 「レイジングハート、戦える?」 『はい。ただしリカバリーは60%程度しか終わっていません。 今の状態では魔法が安定しない可能性がありますので、注意を』 「わかった。レイジングハート……セットアップ!」 『stand by ready.set up.』 刹那の後、スバルの左手には杖状のレイジングハートが、そして身体にはバリアジャケットが現れた。 「ほう、それがベルカ式魔法という奴か?」 「……?」 ギュオーのその言葉に僅かに疑問が湧くが、スバルはそれをあえて思考から追い出す。 一点集中、それしか活路はないのだから。 「いっくぞおおお!!」 だんっ! と、地面を踏み抜き前進する。 だがギュオーはスバルの接近を許さず、重力指弾でこちらの接近を阻む。 (これじゃあ、近付けない……!) 間断なく襲い掛かってくる重力の弾丸を避けているうちに、次第にギュオーとの距離が開いていくのを自覚する。 距離が開けば開くだけ不利になる――こちらの切り札は接近しなければ使えないのだ。 ジリジリと追い詰められるスバルにギュオーがじっとこちらを見据えて低く笑った。 「もう接近などさせんよ。IS『振動破砕』だったか? そんなものを使われては堪らないからな」 「……なんで」 それを知っているの? その言葉にスバルは一瞬、気を逸らされた。――刹那、ギュオーが手を振り上げて衝撃波を放つ。 「――――っ!」 レイジングハートの自動防御が……僅かに間に合わない。 衝撃がバリアジャケットを通り抜けていくのを、スバルは声なき悲鳴をあげながら理解した。 痛みとショックに耐えながら、地面の上を転がり、スバルはその場に倒れこむ。 「貴様の事は全て知っているぞ、スバル・ナカジマ――いや、タイプゼロ・セカンドよ!」 獣神将がにやりと笑った。それを見て、スバルの背筋にぞくりと冷たい物が走る。 圧倒的な力と全てを見通すようなその眼差しにスバルは確かに恐怖を覚えてしまったのだ。 (勝てない……の? あたしの力じゃ……) 膝が震えて立ち上がることは出来ない。目が霞んで視界がぼやける。 「さて、私も忙しい。そろそろ死んでもらうとしよう」 ギュオーの全身に埋まっている球体が発光し、その腕の中に力が渦巻くのを感じた。 ウォーズマンを倒したあの技だと――そう意識した瞬間。 スバルの脳裏に急激にさまざまな思い出が浮かんだ。 ウォーズマンの顔が。 ナーガの顔が。 ガルルの顔が。 アシュラマンの顔が。 フェイトの顔が。 死んでいった人たちの顔が思い浮かぶ。 (これって……走馬灯?) そして中トトロの顔が。 キョンの顔が。 思い浮かんではまた消えた。 (やだ……まだ、死にたくない。まだ、死ぬわけにはいかない) まだ助けられてない、まだ何も出来ていない、まだ……まだっ! 歯を食いしばり、足に力を込める。 その意思に――身体が応えてくれた。 (まだ……立てる。そうだよ、今のあたしは……泣いてるだけのあの頃のあたしじゃないんだから!) 厳しい教導に耐え抜いた身体はまだ動く、動いてくれた。 地面に手をつき、身体を支える、ゆっくりと立ち上がってレイジングハートを構える。 レイジングハートも応えてくれた。魔力がスバルの眼前に障壁を生み出す。 防げないかもしれない――そんな弱気が脳裏に閃くが、負けるもんかと歯を食いしばって弱気を振り払う。 スバルとは逆にギュオーは勝利を確信しているのか――笑みを浮かべていた。そして。 「では、さらばだ――ん?」 と。 収束した力をこちらに向けた瞬間。突如ギュオーの身体がぐらついた。彼の足元が揺れていたのだ。 「……地震か?」 「ギュオオオオオオオオォォォ――――っ!!」 地震――ではなかった。 それはドリル、それは竜巻、それは――螺旋回転する超人だった。 地下から飛び出してきた黒い竜巻は土を吹き飛ばしながらギュオーの身体をも弾き飛ばす。 「なんだとッーーー!?」 叫ぶギュオーと驚くスバルの間にその超人は着地し――呼吸する。 「コーホー」 と、腕を交差させてしっかりと。 そこには確かに彼が居た。死んだと思った黒い伝説超人(レジェンド)が。 「ウォーズマン! 馬鹿な、なぜ貴様が生きている!?」 「簡単な事だ。オレはセンサーが重力異常を感じたその瞬間、 自ら超人削岩機(マッハ・パルバライザー)で地面の奥へと潜ることで、ダメージを最小限に抑えたのだ」 平然とそんな事を言われてギュオーが絶句する。 「ウォーズマン……さん?」 倒れそうになりながら名前を呼ぶと、黒い伝説超人は大きく頷いてくれた。 「遅れてすまない。固くなった地盤から抜け出すのに時間が掛かってしまった……大丈夫か?」 「はい……なんとか!」 さっきまでは本当に立ってるのがやっとな状態だったが……今は違う。不思議と力が沸いてくるのを感じていた。 自分が決して一人じゃない、その事が挫けかけていたスバルの心に不屈の力を与えてくれていた。 「リインとキョンは?」 「空曹長は……ここです」 すぐ近くで気絶していたリインをそっと手のひらの上に乗せながら、そう答える。 そして少し躊躇しながら、もう一人の行方も告げた。 「キョン君は……その、逃げました」 「なんだと!?」 ウォーズマンが驚愕すると同時に、超人の凄まじさに絶句していたギュオーもそこでようやく立ち直ったのか 「ぐううッ、このくたばりぞこないどもがッ!!」 怒鳴りながら猛然と重力指弾を撃ち出してきた。 ウォーズマンはスバルの身体を抱きかかえながら、大きく飛び退き重力指弾の雨から逃れる。 そして追うようにとんできた重力指弾が様々な物を破壊していく。 神木を、鳥居を、そして狛犬を……ギュオーとの射線上にあったあらゆるモノが破壊されていった。 そしてその時、不思議な事が起こった。 急に大地が鳴動し始めたのだ。 「な、なんだ!?」 再度振動する地面に流石に警戒したのかギュオーは空中へと浮かび上がった。 だが、今度はギュオーの足元だけではなく神社全体が鳴動していた。 物陰に隠れながらそれを見ていたウォーズマンが口を開く。 「スバル。ここはオレに任せてお前はキョンを追え」 「え、でも……ウォーズマンさんは?」 「オレは正義超人としてギュオーとの決着をつけなければならない。 ……だが、このままキョンを放っておくわけにもいかないんだ」 そこまで厳しい表情だったのだがふと、表情を緩めてウォーズマンは続ける。 「元・残虐超人だったオレにはわかる。 放送時のあの動揺……奴は自らが行った残虐行為を後悔している。 だが、一人になれば奴はまた罪を犯してしまうだろう。しかし……お前が居れば。 お前のテンダーハート(優しい心)が隣にあれば……奴は正道へ帰る事が出来るかもしれないぜ!」 そのウォーズマンの言葉に、スバルは嬉しさと不安がない交ぜになる。 「で、でも! いくら何でもウォーズマンさん一人じゃ!」 「行けスバル! これはギュオーを信じたオレの責任。お前はお前が出来る事をするんだ!」 その強い言葉に押されるようにスバルは吹っ切る。 「わかり……ました! ウォーズマンさん、どうか無事で!」 「ああ、お互いやるべき事が済んだら先ほどのリングで合流しようぜ!」 「はい!」 そしてギュオーが振動する神社に気を取られているのを確認するとウォーズマンが叫ぶ。 「いまがチャンスだ。行けっ、スバーーール!」 ギュオーの注意が逸れているその隙に――スバルはキョンが消えた草むらへと飛び込んでいった。 ☆ ☆ ☆ 沈みかけの太陽の光が木々の隙間から僅かに漏れる。 そんな薄暗い山道を俺はひたすら走り続けた。 視界ははっきり言って悪い。何度も木の根に足を取られて転びかけていたぐらいだ。 こういう薄暗い夕暮れ時の事を逢魔時とか言うんだったか。 確か魔物が出るような時間帯って話だったはずだが――現状では洒落にもならない。 いま現在、俺は魔物から命がらがら逃げ出しているんだからな。 逃げる、逃げる、後ろも見ずにひたすら逃げた。 魔物から? いや、何も考えたくないのに次から次へと襲い掛かってくるこの現実からもだ。 頼むから休ませてくれよ。今だけは何も考えたくないんだ。 だというのに、なんであんな怪物に命を狙われなきゃならないんだ。 ああ、ハルヒの声が聞きたい。……そう思わずにはいられない。 一日前の俺が聞いたら笑っちまうだろうが今だけは真剣にあいつの声を聞きたい……強く、そう思った。 あいつの声が聞こえたら、何も考えずに済むんだ。 ただあいつを生き返らせるために、ゲームを終わらせる事だけを考えてればいい。 あいつの為に殺せばいいんだ。 そしてまた後悔するのか? 胸が軋む。 朝比奈さんと妹が死んだ、たったそれだけの事で俺はおかしくなっちまった。 なんだか知らんが、妙な事ばかり思い浮かぶ。 もう止めようぜ、俺には無理だったんだ。 古泉を殺せるのか? それにたとえば長門を殺せるか? 無理だ。朝比奈さんと妹が死んだと知ったぐらいでこんなに無様に迷っている俺が、殺せるわけがない。 それともまた雨蜘蛛のおっさんにでも頼むか? 殺してくれって。 胸が軋んだ。 そして激しい胸の痛みに思わず足を止めて胸を押さえていたら――バクン、と。 突然、強殖装甲が解除された。 「う……がっ」 殖装が解けて俺の身体に強烈な痛みが襲いかかってくる。 ガイバーじゃなくなったからだ。……気が遠くなる。 なんで……ガイバーが解除されちまったんだ? なんだよ、これは……わけがわからねえよ! 「ガイバーーーーー!」 地面に転がりながら俺は力の限りガイバーを呼んだ。 呼んだと言うのに――何も変わらない。 たしか解除されても呼べば次元の狭間から来るはずだろ。なんで来ないんだよ? 説明書に書いてあったあれは嘘だったのか? くそ、痛みで気が遠くなる。 どうなってるんだ……ガイバーがなければ、殺せない。 ああ、気が遠くなる、だが意識は……失いたくはない。 また『俺』に……会うのはごめんだ、せめて、ハルヒに会わせてくれ。 そうすれば……俺は……。 ☆ ☆ ☆ 何か声の様なものが聞こえて思わず振り向いた。 「?」 そしてトトロが声が聞こえたほうへと歩いていくと、そこには人間が倒れていた。 「ガルッ!」 血の臭いを感じてライガーが唸る。 その人間の体から濃い血の臭いがしたからだ。 びっくりした顔でトトロが見ていると、その横をすり抜けピクシーがその人間に近づく。 「~~?」 ピクシーはその人間が動かない事を確認すると、抱き起こした。 その拍子にうつ伏せに倒れていたその人間の顔がトトロにも見えた。 「!」 トトロの目が見開かれる。 その顔が……見た事のある顔だったからだ。 「――ハァ!」 ピクシーがその人間に気合を込めて回復魔法をかける。 トトロはそれを横目に手のひらに僅かに残っていた手紙の切れ端をじっと見つめていた。 「キュクルー?」 『それは……先ほどの手紙。もしかしてこの人物が?』 フリードとその首にかかっているケリュケイオンがトトロに尋ねる。 それにトトロは無言で頷き、倒れている人間に近寄った。 近くで見るとその人間が負っている傷は――深い。 「フ~~」 回復魔法を使い続けていたピクシーも、そんな声をあげてへたり込んでしまう。 どうやらこれ以上、回復魔法を使うのは無理みたいだった。 人間の傷は、まだ治りきっていない。 「…………」 トトロはゆっくりとその両腕でそっとその人間を抱え上げた。 『どうするのですか?』 ケリュケイオンの言葉にトトロはにっ、と笑って駆け出した。 風のように、疾風のように。 木々がつくり出す森の抜け道を全力で走り続ける。 トトロは知っていたのだ。 傷ついた動物が温泉で療養するという事を。 【G-3 森(F-4との境界線付近)/一日目・夜】 【トトロ@となりのトトロ】 【状態】腹部に小ダメージ 【持ち物】ディパック(支給品一式)、スイカ×5@新世紀エヴァンゲリオン フリードリヒ@魔法少女リリカルなのはStrikerS、ケリュケイオン@魔法少女リリカルなのはStrikerS ライガー@モンスターファーム~円盤石の秘密~、ピクシー(疲労・大)@モンスターファーム~円盤石の秘密~ 円盤石(1/3)+αセット@モンスターファーム~円盤石の秘密~、デイバッグにはいった大量の水 【思考】 1.自然の破壊に深い悲しみ 2.誰にも傷ついてほしくない 3.キョンを温泉にいれて療養させる 4.???????????????? 【備考】 ※ケリュケイオンは現在の状況が殺し合いの場であることだけ理解しました。 ※ケリュケイオンは古泉の手紙を読みました。 ※大量の水がデイバッグに注ぎ込まれました。中の荷物がどうなったかは想像に任せます 【名前】キョン@涼宮ハルヒの憂鬱 【状態】気絶、ダメージ(中)、疲労(特大) 【持ち物】デイパック(支給品一式入り) 【思考】 0:ハルヒの声が聞きたい。 1:手段を選ばず優勝を目指す。参加者にはなるべく早く死んでもらおう。 2:ギュオーから逃げる。 3:採掘場に行ってみる? 4:ナーガが発見した殺人者と接触する。 5:ハルヒの死体がどうなったか気になる。 6:妹やハルヒ達の記憶は長門に消してもらう。 ※ゲームが終わったら長門が全部元通りにすると思っていますが、考え直すかもしれません。 ※ハルヒは死んでも消えておらず、だから殺し合いが続いていると思っています。 ※みくると妹の死に責任を感じて無意識のうちに殺し合いを否定しています。 殺す事を躊躇っている間はガイバーを呼び出せません。 ☆ ☆ ☆ 『スバル。対象が移動を開始しました』 エリアサーチでキョンらしき『複数』の反応を捉えていたレイジングハートがそんな報告をしてくる。 あと数十メートル程度の距離まで追い付いていただけに、その報告はスバルの気勢を僅かに削いだ。 そんなスバルの頭の上から悲鳴があがる。 『キョンとその人たちが一緒に歩き始めたって事ですかぁ? ……それって危険ですぅ!』 それは少し前に意識を取り戻したリインだった。 ダメージが大きく、自力での飛行が困難なためスバルが頭の上に乗せていたのだ。 スバルはふらつく身体をなんとか前進させながらその言葉の意味を考え、ふいに理解した。 確かにリインの言う通り――危険だった。 キョンと一緒に居るのが殺し合いに乗っている人間だったら、キョンが。 そして乗ってない人間だったら場合は、その人たちの命が。 スバルは迷路のような木々の間を、早足ですり抜けながらレイジングハートへと問いかけた。 「レイジングハート、まだ……見失ってないよね?」 『はい。ですが対象は異常な速度で移動をしています。 現在の速度差ではあと十数秒ほどでサーチエリアの外へと離脱されてしまいます』 「もっと速度を上げないと……追いつけないって事だね」 萎えた足に力を込める。大丈夫――走れる。 身体も魔力も限界なんてとっくに超えていた。 だけど、それでも――走る。まだ走れた。 闇に覆われ始めた漆黒の森をレイジングハートの誘導に従いスバルは駆け続けた。 足はしっかりと動いてくれていた。だけど。 「ごほっ……ごほっ」 突然、咳が出る。 息が詰まり、流石に立ち止まって手で口を押さえた。 『スバル!?』 頭上からリインの驚いたような悲鳴が聞こえる。 そしてリインが何に驚いているのか、スバルにもすぐに判った。 口に当てた手のひらが――赤く染まっていたのだ。 一瞬、何が起こったのかまったく理解できず、スバルは硬直する。 『危険です、スバル。すでにダメージは危険領域を越えています。休息を進言します』 『ですぅ! 無茶はいけませんよ。もしかしたら内臓にダメージがあるのかも……』 レイジングハートとリインがそう警告してくれたが、スバルは笑って言った。 「大丈夫ですよ。さっきの戦いでちょっと口の中を切っただけですから」 『でもぉ……』 「ここで止まれません。止まるわけには行かないんです!」 ギュッと腕で口を拭いながら、心配そうなリインを安心させるように力強く、宣言するように言った。 『キョンの為ですかあ?』 「それもあります……でも、それだけじゃないんです。これは自分の為でもあるんです。 今ここで止まったら、今ここで出来る事をやらなかったら、絶対後悔するって思うんです」 理想を信じてくれたウォーズマンやガルルの為にも……止まるわけにはいかなかった。 『スバルの決意はわかりました……。でもキョンを捕まえたら絶対に休んでくださいね?』 心配そうに、だがそれでもリインはそう言って認めてくれた。 それにしっかりと頷いてスバルは再び駆け始める。自身の信じるモノの為に。 【F-4 森(G-3との境界線付近)/一日目・夜】 【スバル・ナカジマ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】 【状態】ダメージ(特大)、疲労(特大)、魔力消費(特大)、今の状態で身体を酷使すると吐血します 【装備】メリケンサック@キン肉マン、レイジングハート・エクセリオン(修復率60%)@魔法少女リリカルなのはStrikerS 【持ち物】支給品一式×2、 砂漠アイテムセットA(砂漠マント)@砂ぼうず、ガルルの遺文、スリングショットの弾×6、 ナーガの円盤石、ナーガの首輪、SDカード@現実、カードリーダー 大キナ物カラ小サナ物マデ銃(残り7回)@ケロロ軍曹、 リインフォースⅡ(ダメージ(中))@魔法少女リリカルなのはStrikerS 【思考】 0:キョンを追う。殺し合いに戻るようなら絶対に止める。 1:機動六課を再編する。 2:何があっても、理想を貫く。 3:人殺しはしない。なのは、ヴィヴィオと合流する。 4:I-4のリングでウォーズマンと合流したあとは人を探しつつ北の市街地のホテルへ向かう (ケロン人優先)。 5:オメガマンやレストランにいたであろう危険人物(雨蜘蛛)を止めたい。 6:中トトロを長門有希から取り戻す。 7:ノーヴェのことも気がかり。 8:パソコンを見つけたらSDカードの中身とネットを調べてみる。 ※大キナ物カラ小サナ物マデ銃で巨大化したとしても魔力の総量は変化しない様です(威力は上がるが消耗は激しい) ※リインフォースⅡの胸が大きくなってます。 本人が気付いてるか、大きさがどれぐらいかなどは次の書き手に任せます。 ☆ ☆ ☆ それはある意味ショッキングな光景だった。 特にギュオーにとっては。 「神社が変形する……だと……!」 ギュオーが呆れたような驚いたような微妙な呻きを漏らした。 そう、ギュオーの言うとおり神社は機械的な動きで変形をしていった。 屋根だけは原型を留めているが、他は壁だろうが床だろうが関係なく、動き、曲がり、合体していく。 そして神社だったものはウォーズマンにとって見慣れたある物へとその姿を変態し終える。 それは。 「……リングか」 思わず呟く。 そう、スポットライトに照らされたそれは――どう見てもリングだった。 屋根とそれを支える柱だけを残して神社の壁や床は変形してリングとなっていたのだ。 「な、なんだこの……ありえん変形は……!」 変形してリングに変わる神社など始めて見たのだろう。ギュオーはその瞬間、完全に戦いを忘れていた。 だが、長い年月様々なリングを見てきたウォーズマンはその驚愕から立ち直るのもまた早かった。 「スクリュー・ドライバー!」 ウォーズマンは大きくジャンプをするとその身を黒い竜巻へと変えて空中で佇むギュオーに襲い掛かった。 しかし、ギュオーはやはり只者ではなかった。 直前でそれに気付くと咄嗟にバリアを張って受け止める――が。 「なにいッ!?」 それでも尚、ギュオーは驚愕の声をあげた。 確かにバリアで受け止めはしたのだが――黒い竜巻はバリアごとギュオーを押し始めたのだ。 「ぬ……!」 荒れ狂う黒の奔流に押しやられるようにギュオーはリングの上へと着地した。 そしてウォーズマンも回転を止め、リング上へと身を躍らせながら宣告する。 「ギュオーよ。このリングで相手をしてやる!」 ウォーズマンは超人レスラーだ。 リングの上でこそ100%の力を発揮できる。故にリングでの決着を望んだ。 ただ、それだけだったのだが――それはウォーズマンにも予想しえない事態を引き起こした。 『警告。シールデスマッチモードの発動を確認。現時点からリング外は全て禁止エリアとなる。繰り返す。警告――』 いきなり首輪からそんな警告が発せられ 「……!」 「なんだとッ!」 図らずも二人の動きが同時に止まった。 そして首輪は数度警告をすると完全に沈黙してしまい、それ以上の情報は何も得られなかった。 「どういう事だ……まさか主催者どもは私達をこのリング上に閉じ込めたのか?」 「首輪の警告を信じるならばそういう事になるな……」 敵同士だというのにギュオーが漏らした独白に思わず返事をしてしまう。 距離を取りながら、思考の迷宮に入りかけていた二人だが……異常事態は止まる事をしらず、更に襲い掛かってきた。 ゴゴゴゴ。 と。 再び地面が鳴動する。 「今度はなんだ?」 ギュオーが呻きながら尋ねてくるがウォーズマンに答えられる筈もない。 そしてしばらくするとリングの中央の床から何かがせり出してきた。 | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| | 僕は実況中トトロ!,| |_________| .∧ | ∧ ,i |_,! i、 i .。 |_ 。, `i i -ー、―-、 | i ,/"^ヘ^i i i i' | | i ヽ_,._,/ ,' ゙ー---―' 呆然とした二人が正気に戻るのには数分を要した。 ☆ ☆ ☆ 「そうか、お前がスバルが言っていた中トトロか」 『スバルを知ってるの?』 「ああ。少し前までこの場に居たぜ」 『スバル……元気だった?』 「ええい、関係ない話をしている場合か! 動物ッ! つまり貴様はこの試合のジャッジをするというのだな?」 ウォーズマンが主導となり中トトロから事情を聞きだしていたのだが、話が逸れた事に苛立ったギュオーが割り込んで来た。 その苛立たしげな様子は先ほどの放送で『主催者への攻撃のペナルティ』、『かわいい部下も対象』という あの警告がなければ中トトロを締め上げていただろう、とウォーズマンが確信するぐらい荒々しかった。 『実況役でもあり、観客でもあるよ』 「なるほど、つまりは先ほど長門がやっていた――」 「貴様の立場は判った。それでシールデスマッチモードとはなんだ? 何故リング外がすべて禁止エリアとなったのだ!」 などと、ウォーズマンを押しのけて、またギュオーが質問をする。 言葉を遮られ、内心で思うところもあったが――その疑問はウォーズマンも持っていたので黙って見守る。 『じゃあ説明するね』 と、二人の視線を浴びた中トトロは軽く頷きながら説明をはじめた。 たどたどしいその説明を簡単に纏めるとこうだ。 シール(封印)デスマッチモードとはリング上での決着がつくまでリングの外が全て禁止エリアとなり、 勝負から逃げ出す事が出来ない特殊なデスマッチである。 ただしリングアウトしたからと言って即座に首輪が発動する事はない、一分間だけ猶予が与えられる。 勝者がリングの上に設置されている籠の中に敗者を入れることで試合終了。 その時点でシール・デスマッチモードは解除され、リング外全禁止エリア化は消滅する。 「なるほどな、大体わかった。つまり変則のケージマッチみたいなものだな?」 ウォーズマンは天井から吊るされていた鉄柵で出来た籠の様なものを見ながら尋ねる。 気になってはいたのだが、恐らくあれが敗者を放り込む檻なのだろう。 『その通りだよ! それで、あの……』 「まだ何かあるのか?」 僅かに躊躇ったような中トトロの言葉を聞いてウォーズマンは先を促す。 『今回は少し問題があって、その、あと三十四分以内に勝負がつかなかった場合、二人とも……溶けちゃいます』 あっさりと告げられた、そのとんでもない言葉にギュオーが驚愕したように絶叫する。 「な ん だ と !」 「……! しまった、そういう事か~~っ!」 「そういう事とは……どういう事だウォーズマン!?」 接近してくるギュオーに思わず先制攻撃をしそうになったが、 ウォーズマンのフェアプレイ精神がそれを辛うじて押し留める。 それでも流石に冷静ではいられず早口でその事実をギュオーへと伝えた。 「ギュオーよ、先ほどの放送を思い出せ。 このエリアはあと三十四分……いや、正確にはあと三十三分二十四秒後には禁止エリアになるんだぜ――っ!」 「そうか! つまりそれまでに決着をつけ、このエリアから離れなければ二人して液体化する……そう言う事か!?」 ギュオーの問いかけに中トトロが頷く。 『そういう事です。なので早く試合を開始して決着を――』 そんな中トトロの言葉を最後まで聞くまでもなくギュオーは動いた。 「うおおおおおおおお! いくぞ、ウォーズマンッ!!」 「よかろう、来いギュオーーーっ!!」 カーン、と。高らかに試合開始のゴングが鳴り響いた。 今、主催者すら予測しなかったであろうデスマッチが始ったのだった。 F-5が禁止エリアになるまであと――三十三分。 【F-5/神社/一日目・夜】 【リヒャルト・ギュオー@強殖装甲ガイバー】 【状態】 全身軽い打撲、ダメージ(中)、疲労(中) 【持ち物】参加者詳細名簿&基本セット×2(片方水損失)、首輪(草壁メイ) 首輪(加持リョウジ)、E アスカのプラグスーツ@新世紀エヴァンゲリオン、 ガイバーの指3本、空のビール缶(大量・全て水入り)@新世紀エヴァンゲリオン、 毒入りカプセル×4@現実、博物館のパンフ ネルフの制服@新世紀エヴァンゲリオン、北高の男子制服@涼宮ハルヒの憂鬱、クロノス戦闘員の制服@強殖装甲ガイバー 【思考】 1:優勝し、別の世界に行く。そのさい、主催者も殺す。 2:ウォーズマンを倒しこの場から脱出する。その後、キョンを殺してガイバーを手に入れる。 3:自分で戦闘する際は油断なしで全力で全て殺す。 4:首輪を解除できる参加者を探す。 5:ある程度大人数のチームに紛れ込み、食事時に毒を使って皆殺しにする。 6:タママを気に入っているが、時が来れば殺す。 ※詳細名簿の「リヒャルト・ギュオー」「深町晶」「アプトム」「ネオ・ゼクトール」「ノーヴェ」「リナ・インバース」「ドロロ兵長」「加持リョウジ」に関する記述部分が破棄されました。 ※首輪の内側に彫られた『Mei』『Ryouji』の文字には気付いていません。 ※擬似ブラックホールは、力の制限下では制御する自信がないので撃つつもりはないようです。 ※ガイバーユニットが多数支給されていると推測しました。 ※名簿の裏側に博物館で調べた事がメモされています。 ※詳細名簿の内容をかなり詳しく把握しています。 【名前】ウォーズマン @キン肉マンシリーズ 【状態】全身にダメージ(中)、疲労(大)、ゼロスに対しての憎しみ、サツキへの罪悪感 【持ち物】デイパック(支給品一式、不明支給品0~1) ジュエルシード@魔法少女リリカルなのはStrikerS クロエ変身用黒い布、詳細参加者名簿・加持リョウジのページ、タムタムの木の種@キン肉マン 日向ママDNAスナック×12@ケロロ軍曹 デイバッグ(支給品一式入り) 【思考】 1:ギュオーを倒し、この場から脱出する。その後はI-4のリングでスバルを待つ。 2:タママの仲間と合流したい。 3:もし雨蜘蛛(名前は知らない)がいた場合、倒す。 4:スエゾーとハムを見つけ次第保護。 5:正義超人ウォーズマンとして、一人でも多くの人間を守り、悪行超人とそれに類する輩を打倒する。 6:超人トレーナーまっくろクロエとして、場合によっては超人でない者も鍛え、力を付けさせる。 7:機会があれば、レストラン西側の海を調査したい 8:紫の髪の男だけは許さない。 9:パソコンを見つけたら調べてみよう。 10:最終的には殺し合いの首謀者たちも打倒、日本に帰りケビンマスク対キン肉万太郎の試合を見届ける。 【備考】 ※ゲンキ、スエゾー、ハムの情報(名前のみ)と、サツキ、ケロロ、冬月、小砂、アスカの情報を知りました。 ※ゼロス(容姿のみ記憶)を危険視しています。 ※加持リョウジを主催者側のスパイだったと思っています。ただしその事を他言する気はないようです。 ※状況に応じてまっくろクロエに変身できるようになりました(制限時間なし)。 ※タママ達とある程度情報交換をしました。 ※DNAスナックのうち一つが、封が開いた状態になってます。 ※【シールデスマッチ用特設リング】 神社が変形して出現したリングです。 リング起動用のスイッチは神社にあった狛犬の石像の口の中……だったのですがギュオーの攻撃で破壊され、運悪くスイッチが入ってしまいました。 名前の通りリングの外に逃げられないようにリング外が全て禁止エリアになるというシール(封印)されたリングです。 リングに二人以上の人間が立つとシール(封印)が発動。 リング外禁止エリア化という封印を解除する為には天井付近に設置されている檻に敗者を叩き込むか、あるいはリングアウト等で敗者が死亡した場合のみ解除されます。 敗者を放り込む檻は頑丈で、一旦閉まると簡単には脱出できないようになっています。 時系列順で読む Back 打ち込まれた鍵 Next Hard Luck Duo 投下順で読む Back 打ち込まれた鍵 Next Hard Luck Duo 走る二等兵・待つ獣神将 リヒャルト・ギュオー カッコつけた言葉じゃない強さを見せてくれ 囚われ人は嘘をつく ウォーズマン スバル・ナカジマ 揺るぎない力と意志貫くように(前編) キョン 耐えきれる痛みなどありはしない この温泉には野生の参加者もはいってきます トトロ
https://w.atwiki.jp/sinsougou/pages/942.html
「わぁ~シン兄ちゃん上手~~♪」 ギンガ、スバルと談笑しながら歩いていたティアナの耳に喜びに溢れたヴィヴィオの舌足らずな声が滑り込む。 それはギンガとスバルも同様であったらしく、三人は暫し顔を合わせると、声のする方へと向かう。 隊舎の外へと歩を進めると、そこには芝生にあぐらをかいて座ったシンと、その組まれた脚の上に小さなお尻をちょこんと乗せたヴィヴィオの姿があった。 「ああ、動くな動くなヴィヴィオ。もうちょっとだからな」 「はぁ~~い」 元気の良く素直な返事と共にヴィヴィオはお行儀良く大人しくなる。 シンは思わずティアナがドキリとするくらいに真剣な表情をしながらヴィヴィオの亜麻色の髪を櫛で梳かし編み上げていく。 余りにも真剣な表情にティアナ達は声をかけるのも躊躇いながらその光景を見つめる。 やがて、シンは一本の乱れも無く編み上げた三つ編みをそれぞれ両側で輪を作るようにしてリボンで纏め上げる。 出来たのは三つ編みのお団子を両側に可愛らしく作ったお人形のようなヴィヴィオ。 シンが後ろから手渡した手鏡を見るとヴィヴィオの顔に見る見るうちに笑顔がポッと灯を点したように浮かび上がる。 向日葵のような心の温かくなる笑みにつられるようにシンも笑みを浮かべる。 ――――――― ッ!? ティアナはシンのその笑顔を見た瞬間、胸を鷲掴みにされたような息苦しさを覚える。 紅の瞳を薄っすらと細め、何かを懐かしむような、何か眩しい物を見るかのような儚く淡い笑みである。 ちろりと横目で見ると、薄っすらと頬を朱に染めたギンガとスバルの横顔が目につき、「ムッ」と面白くない何かがティアナの胸に湧き上がる。 それが何かわからないまま、再び視線をシン達に向けると、ヴィヴィオの左右異なる大きな瞳とかち合った。 「ああ~~~!!お姉ちゃん達だ~~~」 「ん?ああ、お~い」 その声につられるように、シンもまたティアナ達に視線を向ける。 さっき浮かべていた笑みは既に消えていた。 それにホッとしたような、残念なような感覚を抱く。 「シン君~何してるの?」 スバルが元気良くニコニコと笑いながら、まるで大好きなご主人様に会った犬のようにシン達の方に駆け寄って行く。 「転ぶわよスバル」と嗜めながらギンガもそれに倣う。 そこでようやく、取り残された事に気付いたティアナは慌てて駆け出す。 ◇ ヴィヴィオを膝に乗せたままシンはギンガ達を見上げる。 スバルはしげしげとヴィヴィオの髪型を見つめると、シンにキラキラとした視線を向ける。 余りにも邪気の無い瞳に、シンはウッとたじろぐ。 シンにとってはスバルのその瞳は非常に好ましいと同時に眩しいものであった。 自分の血の色の瞳とは大違いだな…… 鬼の目と言われて虐められ、虐め返していた子供の頃の記憶が蓋を開けかけたところで無理矢理シンは蓋をし直す。 子供の頃の思い出はシンにとってはそのまま悲劇の揺り戻しに繋がる。 いい加減挽き肉になった両親の姿を瞼の裏に浮かべるのは遠慮したいところだ。 そんな事を思っている間も、スバルやギンガ、そしてティアナは興味深気にヴィヴィオの髪を見ている。 こんな事を言っては彼女達に失礼ではあるが、やはり彼女達も女の子なのだなという感想をシンは抱く。 『向こう』に居た時はよくメイリンがこの手の話題を振りまいていた。 そこに琉菜とミヅキが加わり更に嗜めるつもりがルナマリアも加わって更に盛り上がっていた。 エイジもカミーユも、ちんぷんかんぷんな話題を遠巻きに見ていた。 そして『彼女』は…… 不意にシンの鼻腔の奥に彼女の甘やかな香りが甦る。 肌の柔らかさ、熱い吐息、目尻から零れ落ちた涙を拭った時の感触。 身体の芯を熱く、激しく揺さぶるような衝動に、一瞬シンは飲まれそうになる。 「ねぇ、シン君てば!!」 「あ…え…ああッ」 微かに頬を膨らませたスバルの表情にシンはハッとなる。 今しがた、悲劇の揺り戻しは勘弁被ると思ったばかりだというのに。 それなのに、自分はまた二度と戻らぬ物を求めようと考えていた。 自分の愚かさに吐き気を堪えながらシンは何食わぬ顔でスバルを見返す。 「悪い、何だっけ?」 「もう、ちゃんと聞いててよ!!だからヴィヴィちゃんにしたみたいにギン姉の髪も何か作ってやってよ」 「ちょ、ちょっとスバル…ッ」 「それで私の髪は……無理だから、ティアの髪も何かしてあげてよ!!ね?」 ぽんぽんと元気よく飛び出るスバルの言葉にシンが呆とすると、途端にスバルの表情が曇る。 「駄目…?」 それを見てシンの胸に言いようの無い罪悪感がよぎる。 咄嗟にシンの口を肯定の言葉が突いて出た。 「あ、ああ勿論構わないぜ」 あっさりと肯定され、その後頬を染めたギンガと、耳まで真っ赤にしたティアナが髪を弄られ、それを羨ましげに見ていたスバルが途中でシンの膝の空いたスペースに頭を乗せてシンを慌てさせるという賑やかな光景が六課の職員達に見かけられた。 ◇ ガコン 音を立てて落ちたコーヒーを自販機から取り出すと、シンはプルタブを取るや否や、流し込むように半分程飲みきる。 深い溜息を吐くと、壁にもたれたシンはそのまま力尽きるようにズルズルと座り込む。 ヴィヴィオの髪を弄ってやったのはほんの気まぐれであった。 それが、自分の心にも油断があったのだろう、あれほどの揺り戻しに遭うとは、とシンは冷たい缶を額に付ける。 二口目を、唇を湿らせる程度に口に含んだ時だった。 「今日はどうしたのよ」 視線を微妙に外しながら声をかけてきたのはティアナであった。 シンはそれを見上げながら、口元を微かに緩める。 「ああ、高町教官が案外バリエーションが無いみたいでな。それでヴィヴィオが三つ編みの仕方を聞いてきたついでに髪をちょっとな」 ふ~ん、と生返事をしながら、ティアナはゆっくりと歩み寄る。 何も言わずにティアナはシンの横にストンと腰掛ける。 拳二個分。 不思議な距離だった。 けれども、パーソナルスペースに敏感な筈のシンは、不思議とその距離の近さに心地良さを覚えた。 ティアナは目の前の壁を見つめながら呟く。 「アンタがあんなに器用なんて……何か意外…」 ぽつりと漏らされた言葉に、シンは瞳を細めて、同じく壁を見つめながら呟く。 「妹の髪を結ってやるのが俺の仕事だったんだ……」 「そっか…それでアンタあんな笑顔してたのか……」 「あんな笑顔?」 「ヴィヴィオの髪を結った時のアンタ、泣くのを堪えるように笑ってた……」 「そっか…まだ引き摺ってるんだな…」 「それって…妹さんを?」 「それもあるけど……そうだな、それもあるんだけど……………いいや、何でもない」 頭を振って、不意に漏らしそうになった心の声をシンは飲み込む。 その仕草に、ティアナは不満気に、もどかしげにシンを睨む。 「言いかけて止めないでよ…」 「何でも無いって。ただ……昔……死ぬほど好きだった人の髪がヴィヴィオに似てたんだ。綺麗な亜麻色で……ははは、何言ってるんだ俺」 グいっとコーヒーを飲み干すとシンはくずかごに空き缶を放り込む。 綺麗な弧を描き、缶はくずかごに心地良い乾いた音を立てて入る。 シンは立ち上がるとティアナを見下ろす。 「悪い。マジでどうでもいい話だったな。じゃあな」 そう言って、何かを振り切るようにシンはその場を後にする。 それからしばらくして、ティアナは膝を抱え込み、その間に顔を埋める。 「何よ…ばか……何でもなくなんてないじゃない………」 胸の痛みの正体に気付かぬまま、ティアナは呟く。 込み上げる嗚咽が、それから間も無くして伽藍の空間に溶けていった。 ツンつん×デレでれ 7話へ進む 一覧へ
https://w.atwiki.jp/togazakura/pages/368.html
ティアナ・スバル・エリオ・キャロル達 新人フォアード陣。 彼らは、歴戦の隊長たちであり先輩の ヴィータ・なのはとの厳しい訓練を続けていた だが、一人不安に思うものがいた 自分の強くなっていると思っておらず 頑張りすぎるティアナ そして、グループ模擬戦の日に・・・ 集長の一言 ティアナとスバルは、2人で一緒に頑張ってきた だから、ティアナは、スバルにしそうになったミスを 悔やみもっと上をと頑張るだが、それは、昔、なのはが・・・ 映像は、こちら(消失の場合は、連絡の事 魔法少女リリカルなのはStrikerS ep 8 part 1 魔法少女リリカルなのはStrikerSサブタイトルへ戻る
https://w.atwiki.jp/rakirowa/pages/139.html
パラレルワールドって怖くね? ◆OGtDqHizUM B-7港付近にて2つの人影が対峙していた。 1人はラスカルと合身した烈火の将シグナム。 もう1人は千年リングの闇の意志にとりつかれた若本の戦士アナゴである。 互いを睨みつけるその目には闘志の炎が燃え盛っていた。 「もう、睨みあいはここまでだぁ…さっさと始めようぜぇぇぇぇ!!!」 「…そうだな。私とてここで何時までも油を売っているわけにはいかんのだ。 烈火の将シグナム…参る―――」 「ぶるぁぁああぁぁぁぁあぁぁぁぁあああぁぁああぁああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 ◇ ◇ ◇ 「三連殺!!!」 最初にアナゴが必殺技を叫び、踏み込む。 「今死ね!」 「すぐ死ね!」 「骨まで砕けろ!!」 アナゴの怒涛の三連アタックがシグナムを襲う。 「アライガード!」 それに対しシグナムはラスカルとの合身によって得たラスカルの鋭い爪で防御する。 アライガード、やっていることはただ爪で防御しているにしか見えないが… 飛んでくる銃弾を軽く叩き落すほどの防御力を持つ。 だが、アナゴの三連殺は一撃ごとに威力が増していく。 最初の一撃目と二撃目は何の問題もなく防御することが出来たが、 三撃目を受けた時、強烈な衝撃がシグナムの身体を襲い、シグナムの体制を崩させる。 もちろんアナゴがこの隙を見逃すはずもない 「サイコクラッシャァァァァァ!!!」 赤く発色したエネルギー…サイコエネルギーがアナゴの身体を包んでいく。 そして体制を崩しているシグナムに突撃していく。 流石のシグナムも体制を崩している今では回避するなどほとんど不可能。 「避けきれない…ならばっ…」 シグナムが使おうとしているのは彼女の最も得意としている必殺技紫電一閃。 もちろん現在シグナムはレヴァンティンを所持していないし、 その必殺技を放つためのカートリッジシステムを搭載した武具もない。 だが、ラスカルさんと合身したことにより自身の魔力だけで必殺技が放てるようになったのだ!! いや…むしろラスカルさん自身がデバイス、またはそれに準する存在だったのか? なんだか知らんが、とにかくよし! シグナムの爪が業火に包まれ、必殺技が放たれた。 その名は紫電一閃いや――― 「紫電一爪!!!」 「ぬぅぅぅ!!?」 シグナムの紫電一爪とアナゴのサイコクラッシャーがぶつかり合う。 ジリジリとエネルギーが火花のように弾ける音が響く。 お互い、押し込まれることもなく持ちこたえている。 「ぬぅぅぅぅ…互角かぁ~」 アナゴは自分の必殺技サイコクラッシャーには自信があった。 千年リングに乗っ取られる前の記憶だが、アナゴがよく使用したのはサイコクラッシャーであり、 主にサイコクラッシャーであらゆる局面を乗り越えてきたのである。 その必殺技を受け止めた。アナゴのテンションを上昇させるにはそれで充分だった。 「ふっはははははははははははぁ…やるじゃないか。」 「その言葉、お前にも返そう。」 シグナムもまた本来の戦闘狂が災いして血沸くような気分になり、 もっと戦いを楽しみたいと思ったが本来の目的を思い出す。 (そうだ、私はセフィロスにあってはやてのことを問い質さないといけない。 名残惜しいがこの戦いに手間をかけている暇はない。 さっさと終わらさなければ…) シグナムは気を取り直して身構える。 するとアナゴが笑っていた。あれは自分の強さに自惚れるものでもなく、 あいてを弱いと嘲笑するものでもない あれはまさに、相手が強いことに笑っているものだとシグナムは感じた。 そう、アナゴもまた自分と同じ戦闘狂であることを。 「シグナムと言ったかなぁ?」 「そうだが…」 「くっくっくっ…なかなか楽しいものだったぞ。 貴様をカテゴリーA以上の猛者だと認識してやる… よぉし…私は今からちょっち本気を出そうじゃないか。」 (本気…だと…?今までのは本気じゃなかったというのか? だが、私はここで死ぬわけにはいかん、決して……!) ◇ ◇ ◇ 「う~んどうしよう…」 スバルはもう何度目になるか分からないその言葉を口にした。 さっきまでの出来事で彼女の頭は混乱してどうしたらいいか分からなくなっていた。 「え~っといきなり殺し合いに巻き込まれて… こなたやルルーシュ…レイと出会って… デュエルアカデミアってとこの売店に向かっていたら… いつも間にどっかの体育館に飛ばされて… また殺し合いをしろって…どういうことなんだろう…」 スバルはひたすら悩んだ結果考えるのをやめた。 そう、スバルは何故ここに連れてこられたとか疑問を全て頭から吹っ飛ばす。 そう、こんなことで悩んだって仕方がないのだ。 前の殺し合いの時、いや昔に決めたじゃないか。 災害や戦闘から人々を救える魔導師になるって決めたじゃないか。 自分の憧れの存在である高町なのはのように―― それ以前にこなた、ルルーシュ、レイが危険だ。 戦闘要員である私が抜けてその間に殺し合いに乗ってる危険人物に襲われたらと思うとゆっくりしてはいられない。 さっさとこの殺し合いを終わらせてから彼らのところへ戻らなきゃ。 でも考えてもみよう、もしかしたら彼らも呼び出されている可能性も高いのだ。 スバルはデイバッグの中身を漁り、名簿を取り出す。 「なのはさん、フェイトさん…それとシグナム副隊長まで?」 まずは自分と同じ機動6課に所属している知り合いの名前を見つける。 でも確か…シグナム副隊長は死んだんじゃなかったんだろうか? 前の殺し合いの放送の時に名前を呼ばれたはずなのである。 だが、スバルはすぐに答えを導き出した。 「やっぱこれも、パラレルワールドなのかな…?」 死んでいるはずの人物が出てるとしたらこれしかないだろう。 スバルはさらに名簿を視線を走らすとセフィロス、遊城十代など前の殺し合いの名簿に載ってた人も、今の殺し合いの名簿にのっている。 そしてさらに名簿に目を走らせてスバルは一つの名前を見つける。 「泉……こなた?」 泉こなた。それはスバルのよく知っている人物だった。 前回の時、スバルが一番最初に保護した小さな女子高生。 一瞬、前回の殺し合いの世界に置いてかれないでよかったと思ったが、すぐに考えを改める。 非常に危険である。 再び殺し合いに呼ばれたことで離れ離れにされてしまった。 自分は出会ったときからこなたを守ると誓った。 もうこうしちゃいられない… 「はやく探さないと…でもその前に。」 スバルは現状を把握することにした。 中に入っていたのは基本的なものは前の殺し合いの時とほとんど変わらない。 問題は武器だった。 中から出てきたのは紫色でMというマークが書いてあるボールだった。 「何これ…?」 同封してあった紙に書いてある説明を読むと 「マスターボール…『中にポケモンが入っている。ポケモンはトレーナーの指示に従う(東方不敗)』…?ポケモンって…東方不敗って何だよ?」 スバルは何か使えそうな武器はないかとデイバッグを漁っていたが、 どうやら武器になりそうなものはないらしく、肩を落とす。 「でも、こんなところでしょげてらんないよね。 今いるのはD-7あたりか、とりあえず北上しようか。」 スバルはデイバッグを抱え込み、方角で言う北の方向へ歩き出した。 ◇ ◇ ◇ スバルがD-7あたりから北上して数時間が過ぎた。 あれから数時間こうして北の方向へ進んでいるわけなのだが、一向に人と出会わない。 そろそろ誰かと遭遇してもいいころなんだけどな~とそう思っていたとき 足音のようなものが前方から聞こえてきたと思うと、 前方から異形なものが走ってくるのが見えた。 「ええっ!?」 スバルは驚いた。まず鎧がこっちに向かって走ってくるという事実。 だが、もっと驚くことがあった。 鎧が走ってくることについてはスバルの世界観が世界観だし、 何より前回ので常識を超えるような奴らがいたからというのもある。例えばアーカードとかアーカードとか… その走る鎧はこちらの姿を発見したかと思うと、走りながら手を振って 外見に見合わないほどの幼さが残る声で… 「スバル!!」 スバルの名前を言ったのだ。 そしてスバルに近づくとその巨体で抱きついてきたのである。 「うわああっ!ちょ」 「スバル無事だったんだね、よかった~」 こういう展開どっかであった。とスバルは思った。 私は知らないけど私のことを知っている人に出会ったという出来事。 そう、前の殺し合いで3回くらいそんなことがあった。 とりあえずスバルは鎧の手を何とかどかしてもらい質問する。 「もしかして君も私のこと知ってるの?」 「え…前回の時一緒にいたじゃないか。 覚えてないの?アルだよアルフォンス=エルリック。」 もちろんスバルはアルのことなど全然覚えていない以前に知らないのだ。 何故なら今ここにいるスバルはアルとは違う世界で殺し合いをしていたのだから。 「えっと……アル君だっけ?信じてもらえないような話なんだけど……」 スバルはアルに対してパラレルワールドの仮説を説明しようとしていた。 まさにその時である。 「ぶるあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」 想像を絶するような叫び声があたりに響き渡った。 「え?今の何?」 アルは突然響いた叫び声にうろたえている。 そしてスバルはうろたえているアルを尻目に叫び声が聞こえた方向に走っていった。 「え…ちょっと待ってよスバル!」 アルは少し遅れてスバルの後を慌てて追っていく。 スバルはこの殺し合いを止めると誓った。 出来るだけ人を救いたいと思っていた。 だから放っておけなかった。 さっきの叫び声で絶対に何もないってことがあるはずがない。 誰かが助けに行かなきゃ、きっと誰かが死んでしまうと思ったから―― 【B-7/1日目-黎明】 【スバル・ナカジマ@なのはロワ】 [状態]:健康 [装備]:なし [持物]:基本支給品一式、マスターボール(東方不敗)@カオスロワ、 不明支給品1~2(少なくともみためで武器と判断できないもの) [方針/行動] 基本方針:殺し合いを止める。出来るだけ人は殺さない。 1:叫び声(アナゴ)が聞こえた方向へ向かう。 2:泉こなたを探し出し保護する。 3:アルにパラレルワールドを説明するのは後。 4:前の殺し合いのルルーシュとレイが心配。 [備考] ※なのはロワ 070話「誰かのために生きて、この一瞬が全てでいいでしょう」より参加。 【マスターボール(東方不敗)@カオスロワ】 東方不敗はカオスロワの参加者だったのだが、 とある別の参加者にマスターボールを投げつけられてゲットされ、 そのままその参加者の支給品扱いとなってしまったのである。 最終的にデビルガンダムに向かっていったが生身では歯が立たず死亡する。 恐らくニコロワのモンスターボールやカードみたいに所持者の言うことは聞くと思われる。 【アルフォンス・エルリック@アニメキャラ・バトルロワイアル2nd (アニ2)】 [状態]:鎧胸部に貫通傷、困惑気味 [装備]:チョーク(1ダース) [持物]:デイパック、基本支給品一式、対弾・対刃メイド服@やる夫ロワ、こなた×かがみのエロ同人誌@オールロワ [方針/行動] 基本方針:事態の把握に努める。 1:とりあえずスバルについていく。 2:スバルの様子がおかしいなぁ 3:でっていうに警戒。 [備考] ※アニロワ2nd 091話「ひとつ屋根の下」より参加。 そして場所は再びB-7港付近――― アナゴがシグナムに対して本気を出そうとした時のことである。 バッサ、バッサ バッサ、バッサ (ノ(ノ `゛''ィ.,_`゛''ィ..,_ /ニYニヽ _,.ィ''"´_,.ィ''"´ ヾ)ヾ) ミ,,(ノ(ノ./ /`゛''ィ., (ヽ /( ゚ )( ゚ )ヽ /)ィ´_,.ィ'"´\ \.ヾ)ヾ),,ミ ミ,,(ノ(ノ . / (((i ) / ⌒`´⌒ \ _,.( i)))\ \ . ヾ)ヾ),,ミ゙ ゙ミ,,(ノ(ノ./ /∠_| ,-)___(-,|_ゝ \ \.ヾ)ヾ),,ミ゙ ゙ミ,,(ノ(ノ(ノ( ___、 |-┬-| ,__ )ヾ)ヾ)ヾ),,ミ゙ バッサバッサ ミ,,(ノ(ノ(ノ(ノ/.| `ー'´ /´\ヾ)ヾ)ヾ)ヾ),,ミ" ゛ミ,, (ノ ,.` | / `、ヾ) ,,ミ" / ̄⌒⌒ヽ | / ̄ ̄ ̄ヽ | | / \| .| | ´ ` | (6 つ / なんじゃ~ありゃあ… .| / /⌒⌒ヽ | \  ̄ ノ | / ̄ /ニYニヽ (ヽ /( ゚ )( ゚ )ヽ (((i ) / ⌒`´⌒ \ /∠_| ,-)___(-,|___ 鎧を追ってたら丁度獲物が2人っていうwwwwww( ___、 |-┬-| ,_ ) 俺様ラッキィお前らアンラッキィでっていうwwwwww | `ー'´ /´ // | / ( i))) ヽ) __ rr‐-、 l´ li |l、_i. lー‐' ! i l l | l | だから俺も混ぜろっていうwww. | | | │ ___ .__ まあどうせ勝つのは俺だっていうwwwww l L_. _/ ̄ヽ !r´ i´ 〉 /⌒'| / ̄ヽi ̄ヽ /ニYニヽ / ', | ,|Y | / r‐'i | | | |. /( ゚ )( ゚ )ヽ | | ! `´ l | | ! ' ! ! l、 / ⌒`´⌒ \ ! ' | ! ! ,! | | ,-)___(-、| | ' | | ヽ | | l |-┬-| l | | /. \ | \ `ー'´ / ! /. \ / _/ ヽ、 ヽ / \ |--‐┬=''´ `Tー‐┬ | | / ̄⌒⌒ヽ | / ̄ ̄ ̄ヽ | | / \| .| | ´ ` | (6 つ / 上等だぁ… .| / /⌒⌒ヽ | \  ̄ ノ | / ̄ ,. - ―- 、 ヽ ,.フ^''''ー- j / \ / _/^ 、`、/ / _ 、,.;j ヽ| | -'''" =-{_ヽ{ | ,r' / ̄''''‐-..,フ!/ i' i _ `ヽ i' l r' ,..二''ァ ,ノ まとめてかかってこいやああああああああ!!!!! l /''"´ 〈/ / ; | ! i {l ;. l | | !!. ; |. | ,. -、,...、| ll ; l i i | l l ; l | { j { ゝ ; i' `''''ー‐-' } . \ ヽ、__ ノ . `ー-`ニ''ブ . | ,.-- 、 , ' , =ニ二 `丶 __ ,へ、 ,' / . . . /^i. . .\ ,.. -=ニ二 _ | \〉`ヽ-―ー-- 〈\ | . . . \ ,. ‐‐`"' ` ´. _ . . . . . . . .__ . ヽ、 . . . . ヽ / . , -‐,. - . .| ` . . . .. . ´ . \ ヽ、 . . . ヽ , ' . ,ィ . . / . . . . | . . . . ..、 、、 、 . 、 、ノトヽ、 . . ヽ / // . / | . . | . | i l .| . ヽ. i、 ||ヽ . \ ア \i. . . ', / / i . //| | .{ . l l ヽ l . . ヽ .|`リミ !.ヽ ヽ V/ \ . . ', 〃 { . l l . l. .|‐ト- ト..',_ トト、 . |斗七弌l ト i V;, . . \ . ', i' l . | | . l . lヾ弋'''ぅーヽヽ 代、_,゚// !トi、l;;;;;;;;;, . . ヽ. ', l |小 . Nヽi 辷ニ- ヾl ー一' /!k'ソヽ;;;;;;;;, . . ヽ ', ヽ|l l ヽ ト、i lヾ、 i /'| ト、、 \;;;;;;, . . . ヽ ', ヽ', ヽ !ヽ\ 一 , ' || ゙i、 \;;;;;;, . . ヽ', ヽ ヾ.!i 、_ ,ィ ,ル | | \;;;;, . . ヾ チッ……次からぞろぞろと…… , ‐- 、 ,.="弋 ||`ー ´ .| __ " \; . . . ヾ / `' ⊥.._ ||" ̄"''┤ ||`i ヽ;,. . . .ヽ / 、 | `\ 「 ̄||│ _ ヽ . . . /_,. -- .. _ ',.L_, ./"ヽ、 | /-く, `ヽ ヽ . . |./'" ` ヽ、 | ',i ヽ__j lニ 、ヽ ヽ ヽ . .|{ \! l l-‐- 、 ヾヽ `ヽ、 | lヽ . |.ヽ 、 ヽ | | \ ⊂⊃ ヽ| /;;;ヽ | ヽ __ ヽ 、 ト、 | | ヽ、|l|''" ̄ ̄""'''ヾi /;;;;;;;;リ ヽ、r '" `` .、 // | | ,. |l| }i /;;;;;;;;/ `| _......_ r' | |- ' ´ |l| `ヽ、 ノ レ';;;;;;;;;;;/ ヽ´;;| ,. - '`` .」,. ‐ '"│ ⊂⊃ ヽ、_./ |;;;;;;;;;;;/ ヽ|, ' |- ' " ̄ _|l| / |;;;;/ `| ,.└-- ._z、─- ヽ `" 丶、 ./ _,._,. ^_ヽ、 | ' ‐- .._ \ ヽ 〉/ ∠- 【B-7/1日目-黎明】 【シグナム@なのはロワ】 [状態]:疲労(小)、ラスカルと合体中、アライグマの耳と爪と尻尾つき [装備]:ラスカル@やる夫ロワ(合体中) [持物]:支給品一式(食料少し減)、不明支給品0~2(確認済み・少なくとも刀剣類はない) [方針/行動] 基本方針:はやて(@なのはロワ)についての判断がつくまで態度保留。ただし降りかかる火の粉は払う。 1:目の前の危険人物(アナゴ、でっていう)に対処する。 2:セフィロスと接触し、はやて(@なのはロワ)のその後の安否情報を確認する。 3:柊かがみに激しい警戒。 4:できればラスカルを主(やる夫)の所に届けてやりたい。 ※死亡後からの参戦です。支給品のラスカルもラスカル死亡後からの参戦です。 ※なのはロワの柊かがみ・やる夫ロワの柊かがみ・電話の男が話していた柊かがみ(漫画ロワ)、 この3種の柊かがみを「同一人物」と認識し、実力と知略を兼ね備えた危険人物と見なしています。 ※意志あり支給品・ラスカルには、制限がかかっているものと思われます。(書き手向けルール7参照)。 少なくとも、通常の参加者と同等の単独行動は出来ません。 詳細については後続の書き手さんに委ねます。 【アナゴ@カオスロワ】 [状態]:健康、闇若本 [装備]:なし [持物]:千年リング@ニコロワ、基本支給品一式、不明支給品0~2 [方針/行動] 基本方針:戦いを楽しむ 1:目の前の狸女(シグナム)と怪獣(でっていう)と戦う。 2:強者との戦いを望む。 ※カオスロワ5thエピローグ後の参戦です ※現在千年リングの意志と若本がうまくブレンドされた状態で乗っ取られています ※若本の技と特殊能力を使えます。(カオスロワ準拠) 【でっていう@やる夫がバトル・ロワイアルに参加しているようです (やる夫ロワ)】 [状態]:健康 [装備]:なし [持物]:デイパック、基本支給品一式、ランダム支給品1~3個 [方針/行動] 基本方針:優勝っていうwwwww 1:目の前の人間(シグナム、アナゴ)を殺して喰うっていうwww 2:鎧を追いかけて近づいてきた人間を喰うっていうwww ステルスマーダーっていうwwwww 3:高良みゆきをもう一回喰ったらさらに賢くなる気がするっていうwwwww ※オプーナ戦直前からの参加。 035 変種第二号 投下順に読む 037 「狂気の沙汰ほどおもしろい…ッ!」 035 変種第二号 時系列順に読む 037 「狂気の沙汰ほどおもしろい…ッ!」 スバル・ナカジマ 057:Double-Action Rascal form 003 合成獣(キメラ)が哭く夜 アルフォンス・エルリック 022 烈火の爪(れっかのそう) シグナム 022 烈火の爪(れっかのそう) アナゴ 003 合成獣(キメラ)が哭く夜 でっていう
https://w.atwiki.jp/a_nanoha/pages/45.html
魔法少女リリカルなのはStrikerS 第15話【Sisters&Daughters】 ギンガ「戦闘機人。それは、人の身体に機械を融合させ、戦闘能力を飛躍的に高める研究。 しかし、成功例の少なさや人道的理由を初めとする様々な問題点から、研究は中止され、 ついにはその存在そのものがタブーとされた。今回機動六課が担当する事件に戦闘機人が姿を現し、 私たちは事件捜査への更なる協力を申し出た。 戦闘機人事件は、私たち家族にとって重要な意味を持つ事件だから。陸士108部隊、ギンガ・ナカジマ」 ヴィータ「ティアナは今日もあたしとやるぞ」 ティアナ「はい!」 ヴィータ「突撃型のさばき方、第6章!」 ティアナ「お願いします!」 なのは「ギンガ」 ギンガ「はい?」 なのは「ちょっと、スバルの出来を見てもらっていいかな?」 ギンガ「あ、はい」 なのは「一対一で、軽く模擬戦。スバルの成長、確かめてみて」 ギンガ「はい!」 シグナム「なるほど。悪くない」 なのは「はい」 ヴィータ「ああ。二人とも、なかなかだ」 ティアナ「スバル、お姉ちゃんっ子だからね~。ギンガさんも、スバルに結構甘いし」 シグナム「スバルは、だいぶ使えるようになったな」 なのは「入隊以降、ずっとクロスレンジの基礎固めをしてきましたから」 ヴィータ「あたしとなのはが毎日毎日ぶったたいて、鍛えてるしなぁ~。あれぐらいは」 ヴィータ「反応は悪くなったぞ。スピードがおっつかなかったか」 スバル「あ、ああ…ありがとうございます!」 なのは「ギンガ、どう?スバルの成長は」 ギンガ「ビックリしました。攻防の切り替えが、すごくスムーズで、威力も段違いで」 なのは「合格?」 ギンガ「はい!ものすごく」 フェイト「しばらくは、同じ部隊だから、一緒に頑張ろう」 ギンガ「はい!」 なのは「せっかくだから、ギンガも入れたチーム戦。やってみよっか?フォワードチーム五人対、前線隊長四人チーム」 ギンガ「ぅえぇ!?」 スバル「いや、あのね、ギン姉。これ、時々やるの」 エリオ「隊長たち、かなり本気で潰しにきますので」 ティアナ「まずは、地形や幻術を駆使して、何とか逃げ回って」 キャロ「どんな手を使っても、決まった攻撃を入れることができれば、撃墜になります」 ヴィータ「悔しい気持ちのまま、反省レポート、まとめとけよ~」 スバル・ティアナ・エリオ・キャロ「はい!」 ティアナ「出動があっても、大丈夫なくらいには…限界ギリギリまでですね~」 キャロ「密度濃いんです」 ヴィヴィオ「おはよーございます」 マリエル「あ、えっと、おはようございます」 シャーリー「おはよう、ヴィヴィオ」 ヴィヴィオ「うん。しつれーします」 マリエル「あ、どうも。ご丁寧に…」 ヴィヴィオ「ママー!」 なのは「ヴィヴィオ」 フェイト「危ないよー。転ばないでねー」 ヴィヴィオ「うん」 なのは「大丈夫。地面柔らかいし、綺麗に転んだ。怪我はしてないよ」 フェイト「そ、それはそうだけど…」 なのは「ヴィヴィオ。大丈夫?」 ヴィヴィオ「うぁ、えっく、え」 なのは「怪我してないよね?頑張って、自分で立ってみようか?」 ヴィヴィオ「ママぁ~」 なのは「うん?なのはママ、ここにいるから。おいで」 ヴィヴィオ「え、ぇぁ、うぇ~」 なのは「おいで」 フェイト「なのは、駄目だよ。ヴィヴィオまだちっさいんだから」 なのは「あ」 ヴィヴィオ「フェイトママ」 フェイト「気をつけてね。ヴィヴィオが怪我なんかしたら、なのはママもフェイトママも、きっと、泣いちゃうよ?」 ヴィヴィオ「ごめんなさい」 なのは「もう、フェイトママちょっと甘いよ」 フェイト「なのはママは厳しすぎです」 なのは「ヴィヴィオ。今度は頑張ろうね」 ヴィヴィオ「うん」 シャーリー「あんな感じです」 マリエル「ああ。二人の子供かぁぁぁぁああうえぇぇ!?」 キャロ「ヴィヴィオ、髪の毛かわいいね~」 ヴィヴィオ「なのはママのリボン~」 なのは「アイナさんがしてくれたんだよね?」 ヴィヴィオ「うん!」 スバル「いい感じだよ~ヴィヴィオ」 ヴィヴィオ「えへへ」 マリエル「なるほど。保護児童なのね」 エリオ「僕の時と同じような感じです」 シャーリー「なのはさんが保護責任者。後見人がフェイトさんです」 マリエル「そっか」 ティアナ「しっかしまぁ。子供って泣いたり笑ったりの切り替えが早いわよね」 ギンガ「スバルのちっちゃい頃も、あんなだったわよね~」 スバル「え!そ、そうかなぁ?」 シャマル「リインちゃんも」 リイン「え~!?リインは初めっから割と大人でしたぁ~!」 シグナム「嘘をつけ」 ヴィータ「身体はともかく、中身は赤ん坊だったじゃねぇか」 リイン「う~。はやてちゃん!違いますよね!?」 はやて「あはは。どうやったかなぁ?」 なのは「ヴィヴィオ。駄目だよ。ピーマン残しちゃ」 ヴィヴィオ「あ~。苦いのきらーい」 フェイト「え?おいしいよ?」 なのは「しっかり食べないと、おっきくなれないんだから」 ヴィヴィオ「うぅ~~」 はやて「あ~、そやなぁ。好き嫌い多いと、ママたちみたいな美人にはなれへんよ?」 ヴィヴィオ「う~~~」 シグナム「スバルたちは、マリエル技官と外出か」 シャマル「いつもの健康診断よ。クラナガンの医療センターまで」 オーリス「機動六課からは、材料はでませんでした」 レジアス「そうか。公開陳述会まで間もない。より有利な交渉材料を押さえておかねば」 オーリス「引き続き、こちらの査察部を動かします。それよりも、本局査察部や一部の部隊が、 こちらを調べて回っているようです」 レジアス「いつものことだ。いつものようにこなせ」 オーリス「本局査察官に一人、やっかいな希少技能保有者がいます。本腰を入れられたら、 深いところまで探られる可能性もありますが」 レジアス「チッ。いまいましい。全ては必要あってのことだ。連中に理解させるには、まだ時間と実績がいる」 オーリス「最高評議会からの支援は、いただけないのでしょうか?」 レジアス「わしが問い合わせる。アインヘリアルのほうはどうだ?」 オーリス「三号機の最終確認が遅れていますが…順調です」 レジアス「遅らせるな。陳述会前には終わらせておけ」 オーリス「これから視察に行く予定です」 オーリス『例のプランといい、アインヘリアルといい、過ぎた力と思わなくもないが…』「あの方の…選んだ道だからな」 レジアス「教会のみならず、本局のご老人方も、何事か動かれているようですが」 評議員「三提督か?気にせずともよかろう」 書記「その通り」 評議長「彼らにはもう、人も世界も動かせはせんよ。陳述会はおまえに任せる。これまで通りでよい」 レジアス「はっ!」 評議長「そう。これまで通りでよい。何にも、問題は、ない」 ディエチ「新しい身体、どう?」 ウーノ「いいに決まってるわ。あなたたちの動作データが生きてるもの」 クアットロ「妹たちも皆順調です~。ナンバー7セッテ。ナンバー8オットー。 ナンバー12ディードも基本ベースとIS動作までは完成です」 ディエチ「9番ノーヴェと11番ウェンディの固有武装も、無事完成」 ウーノ「2番ドゥーエ。5番チンクは既に任務中。良いペースね」 スカリエッティ「祭りの日は近いな。君たちも楽しみだろう」 ウェンディ「あー。武装も完成したし、ドカーンと一発、暴れてみたいっすね~」 スカリエッティ「君たちは最前栄耀の能力だ。存分に暴れられるとも」 ウェンディ「だって。楽しみだねぇ~ノーヴェ」 ノーヴェ「別に。あたしは、確かめたいことがあるだけだし。あたしたちの王様がどんな奴か。 そいつは本当に、あたしたちの上に立つのにふさわしいやつなのかどうか」 ウェンディ「まぁ、よくわかんないけど。それ、すぐ分かるんっすよね?」 スカリエッティ「そうとも。準備は整いつつある。一つ大きな花火を、打ち上げようじゃないかー! ははは、あははっはははっは!間違いなく、素晴らしく楽しいひと時になる!あははは、はははっははは」 ギンガ「スバル」 スバル「ん?」 ギンガ「この先たぶん、戦闘機人戦があると思うんだけど」 スバル「うん」 ギンガ「しっかりやろうね」 はやて「今日、教会のほうから最新の予言解釈が来た。やっぱり、公開意見陳述会が狙われる可能性が高いようや」 フェイト「うん」 はやて「もちろん、警備はいつもよりうんと厳重になる。機動六課も、各員でそれぞれ警備にあたってもらう。 ほんまは、前線丸ごとで警備させてもらえたらええんやけど、建物の中に入れるんは、私たち三人だけになりそうや」 フェイト「まぁ、三人揃ってれば、大抵のことは何とかなるよ」 なのは「前線メンバーも大丈夫。しっかり鍛えてきてる。副隊長たちも今までにないくらい万全だし」 フェイト「皆のデバイスリミッターも、明日からはサードまで上げていくしね」 はやて「ここを押さえれば、この事件は、一気に好転していくと思う」 なのは・フェイト「うん」 なのは「きっと、大丈夫」 次回予告 なのは「地上本部の警備に向かう私たちと、待舎で見送る機動六課メンバー」 フェイト「襲撃は静かに、そして突然に」 なのは「次回、魔法少女リリカルなのはStrikerS第16話」 フェイト「その日、機動六課(前編)」 なのフェ「Take off!」
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/746.html
「……ねぇつかさ、チョココロネってどこから食べる?」 ある日の昼休み。こなたはマジマジとチョココロネを見つめながら食べていた。 「え?う~ん……頭からかな?」 「……そう」 こなたは一言呟くと、再びチョココロネを食べ始めた。 「ところで……頭ってどっち?」 刹那、つかさの表情は固まった。 Episode 02「癒し効果」 「ねぇ、なのはさんはどう思う?」 「え……?」 こなたの問いに、なのはもまた固まる。 どっちがチョココロネの頭かって?考えた事も無いよ。 「多分細い方……かな?」 「うん、私もそう思う」 とりあえず気分で答えてみるなのは。つかさもそれに合わせる。 「そう……私は太い方が頭だと思った」 「どうして?」 「だって芋虫みたいじゃん?」 「「いも……ッ!?」」 なのはとつかさはショックを隠し切れず、固まったままその場に立ち尽くした……。 「え~と、こなちゃん。もうちょっといい例えないかな?」 「そうだよ……貝とかの方がまだいいよぉ」 なのはもつかさも芋虫というイメージには猛反発。 そりゃおいしいチョココロネのイメージが芋虫なんて言われたら誰だって否定するだろう。 つかさが貝ならなのはのイメージは何だろう?気になったこなたは聞いてみることにした。 「……じゃあ、なのはさんはどんなイメージなの?チョココロネ」 「え……私のイメージ……?」 「うん。つかさが貝なら、なのはさんはどんなイメージなの?」 「…………?」 またもこなたに意外な質問をされたなのはは、しばらく考えるそぶりを見せ…… 「う~ん……ドリル……かな?」 満面の笑顔で答えたなのは。それにより、再び微妙な空気が流れる。 「なのはさん……土曜日の朝は、何見てる?」 「……え?」 訳のわからないこなたの反応に、なのははキョトンとした顔をするのだった。 「どーも、ティアナサン」 「え……?えぇ、パトリシアさん……だっけ?」 ここは1年D組。突然話し掛けられたティアナは、早速覚えたばかりのクラスメートの名を口にした。 「ティアナサンも私と同じで、ニホンの文化を学ぶ為に留学したデスカ?」 「え……ま、まぁそうね」 ティアナは留学生ということでこの陵桜学園に通っているため、立場的には この『パトリシア=マーティン』こと、パティと同じことになる。 「やはりそうデシタカ!いやー、ニホンの文化は素晴らしいデスよねーっ!」 「まぁ、そうね。確かにいい国よね、この国は」 「同じ趣味を持つナカマとして、よろしくお願いしますデース!」 「(同じ趣味……?私、趣味なんて言ったかしら?)」 ティアナはそんな疑問を浮かべながら、適当に「よろしくね」と笑顔で挨拶する。 ちなみにパティは、日本にいる人間を全員オタクだと思い込んでいる節があり、ティアナもまたその勘違いの被害者の一人である。 「とりあえずティアナサン、ツインテールとはポイント高いデスネ!」 「は……?あ、ありがとう」 別にそんな需要とか気にしてツインテールにした訳では無いが、一応お礼は言っておく。 今後この二人の勘違いは、間違いなく深まってゆくだろう……。 「ひよりん、それ何してるの?」 「あ、スバルちゃん……」 一人で黙々と机に向かっている黒髪の少女、『田村ひより』に声をかけるスバル。 こういう時、どうしても声をかけてしまうのがスバルのいい所なのかもしれない。 「いやね、漫画書いてるんだけど、締切が迫ってて……」 「へー、漫画書いてるんだ!?凄いじゃない!」 「え?い、いやぁそれほどでも……」 褒められて素直に喜ぶひより。 だが、この喜びも次の瞬間には焦りへと変わる事に、ひよりはまだ気付いていないのであった……。 「どんなの書いてるの?ちょっと見せてよ♪」 「ってわぁああああっ!ちょ……ちょまッ!!」 いつも通りのニコニコスマイルで原稿に手を伸ばすスバルを、必死な顔で制止するひより。 「え……ど、どうしたの?ひよりん……?」 「いや、その……えっと……」 スバルも少し驚いた表情でひよりを見る。なぜかひよりの顔は少し赤くなっている。 「あの……その、み、見ない方が……いいかもよ……?」 「ゆーちゃんまで……どうしたの?」 そこに、さっきまで微笑みながら見ていただけの赤髪ツインテール少女、『小早川ゆたか』ことゆーちゃんが割り込みをかける。 ゆたかの顔もまた、ひよりと同じくらいに赤面している。 「あの……ホラ、まだ本になってないから、発売したら見せてあげるから!ね?」 「あぁ!なんだ、そういう事かぁ。そういう事ならわかったよ!」 「あ、ありがとうスバルちゃん……」 ひよりの必死の言い訳を疑う事なく信じたスバルは、快くそれに従うことに。 「(良かったね、見られなくて……)」 「…………。」 ひよりに目で合図をするゆたか。 ゆたかはすでにこなたという伝説の少女によって、ひよりの書いている漫画の内容が知らされているのだ。 「(あぁ……正直かなり恥ずかしい!)」 ゆたかにまでそんな気を使わせてしまったひよりは、擬音で表すなら「カビーン」といった感じに落ち込む。 「ん?どうしたの、ひよりん?」 ひよりが何故ヘコんでいるのかなど想像もつかないスバルは、何事も無かったかのように話し掛ける。 「(あぁ……しかもこの漫画出たらスバルちゃんにまで見せなくちゃならないんだーッ!?)」 さっきの「発売するまで待て」って言い訳…… アレはミスった!ひよりは心の底からそう思ったという。 「そういえば今思ったんだけどさ、ティアナちゃんとスバルちゃんの組み合わせって ゆたかちゃんとみなみちゃんの組み合わせに似てない?」 「「「………………?」」」 突然のひよりの言葉に、お互いの顔を見合わす一同。 「(私が似てるって……みなみにかな?)」 「(私は……やっぱりみなみよね?)」 「(え……私ティアちゃんみたいにスタイルよくないよぉ)」 「(……似てない。)」 スバルとティアナはみなみに、ゆたかはティアナに、それぞれ目線を向ける。 まぁみんな思っていることは違うようだが。 しかもひよりの言葉に誰ひとりとして返事を返そうとしない。 「……はいはい、そうっスよね、似てないよね、どーせオタク思考ですよー」 ひよりは、「ハハ……」と、まるでフリーダムを落とした直後のシンの様なよくわからない笑みを浮かべた。 「で、私が誰に似てるっていうのよ?」 「ほら、ショートヘアにツインテールって組み合わせ。あとはクールと天然を入れ換えた感じ」 ティアナの問に答えるひより。 「え~……なんかややこしいなぁ……」 スバルも頭をフル回転させる。 いや、なんかややこしそうに聞こえるだけで冷静に考えればどうってこと無い話である。 「だから、こうなればいいんだよ~」 『ねぇねぇスバルっ♪』 『何よ、ティア……』 明るい表情のティアナが、クールな表情のスバルに話し掛ける。 なんだこの図は。 「もしくはその逆かだね」 言うべき事を言ってやった!的な表情で微笑むひより。それはもう実に楽しそうな表情だ。 うん、もちろんひよりだけ。一同「……」状態だ。 「あ……っ!」 「どうしたのよ、ひより?」 「あ……ううん、何でもないよ……」 突如何かに閃いたひよりは素っ頓狂な声をあげてしまう。 「(言えない……転校生組はスタイルいいけど、ゆたかとみなみは胸ぺったんガールズだなんて……ッ!!)」 また妄想モードに入ってしまったひより。 ひよりはどんな些細な事でも、使えるネタはどんどん使うのだ。漫画に。 「アンタ、さっきから何考えてんのよ?」 度々訳のわからないモードに切り替わるひよりに、ツッコミを入れるティアナ。 ひよりのティアナメモにはツッコミポイントが追加された! 「え……いや、何でもない……カナ?」 「かな?って何なのよ……」 適当にはぐらかすが、今ひよりはある事実に気付いた。このティアナの態度……そして喋り方は……! 「あぁ……今気付いたよ。ティアちゃんはクールっていうよりツンデレなんだね……」 「……ツンデレ?」 初めて聞く単語に首を傾げるティアナ。 「ティアちゃんはどちらかと言うと柊(かがみ)先輩のが近いんだよ」 こうしてひよりは再び妄想モードへと突入するのだった……! 3年C組の風景。 その日、日下部みさおはいつも通り教室へと入室するため、勢い良くドアを開けた。 「(おっ、あれは転校生!)」 入室するや否や早速フェイトを発見! みさお的にもここで絡まない手は無い。 「おーっす、フェイト!」 「………?」 「あ、アレ……?」 元気よく挨拶したのはいいが、どこかフェイトの様子がおかしい。 返事を返す事もなく、黙ってみさおの顔を見つめているのだ。 「……どしたん?元気ねーなぁ」 「ごめん。キミ……誰だっけ?」 「はぅあッ!?」 次の瞬間、みさおはかがみの元へと駆け出していた。 「ひ、酷い……あいつ、酷い!」 「ま、まぁまぁ……まだ転校したばっかなんだから、仕方ないでしょ?」 かがみは自分に擦り寄るみさおをなだめながらフェイトをフォローするのだった……。 放課後。 「なんだかんだでゆーちゃんと一緒にいると癒されるなぁ」 「え……そ、そうかな?」 突然のスバルの褒め言葉に、顔を赤くするゆたか。 「いや~そういう反応が癒しポイントアップに繋がるんだよ~」 「そうそう、それそれ!ポイントとかよくわかんないけど!」 「そうだよね……わかんないよね……あとそれ風間大介だよね……」 このスバルの一言により再びひよりの泣き笑いスイッチがオンに! 「まぁともかく、アンタも少しは見習えば?」 「なっ!?酷いティア……まるで私が癒しポイント0みたいじゃない!」 「そうは言ってないわよっ」 楽しそうに言い争いを始めるスバルとティアナ。 二人の光景はまさに中のいい女キャラ同士……例えるならばアイビスとスレイが仲良く喧嘩をしているような、そんな微笑ましい光景だ。 「(あぁ……なんかいいネタが閃きそうかも……!)」 ひよりはそんな光景を、またしても百合漫画のネタにしようとしているのであった……! まぁいつも通りっちゃいつも通りですよ。 「ねぇ、ティア……」 「何よ?」 「なんか誰か忘れてない?」 「誰かって……誰よ?」 スバルに話し掛けられたティアナは、一緒に忘れられた人物を考えるが、どうにも思い出せない。 そんな時、二人の元へとやってきたのはひよりだった。 「あ、パティは空気キャラってのもポイントの一つだから気にしなくていいっすよ」 「「……あッ!!」」 そうだ、パティだ! 戻る 目次へ 次へ
https://w.atwiki.jp/nanohass/pages/3327.html
此処は首都グラナガンから少し離れた地区、辺りには廃墟ビルが立ち並び その上には高速道路が牽かれ、其処ではスバルとノーヴェが戦闘を行っており、 後方ではギンガが二人の戦いを腕を組みながら見守っていた。 リリカルプロファイル 第三十一話 軛 戦況は白熱しておりノーヴェの左ハイキックをスバルは右手で受け止め、 左足でノーヴェの右足を蹴ると体勢を崩しノーヴェは仰向けの状態で倒れ 其処に間髪入れずスバルは右拳を振り下ろすが、ノーヴェはバク転のような 弧を描いて起きあがる動きを用いて、右のつま先でスバルの顎を狙う。 しかしスバルは頭を左に振り、かすめる程度で終わらせるとスバルの右拳は地面に突き刺さり 体勢を立て直したノーヴェは右腕を向け光弾を連射、スバルは右手をかざしプロテクションにて攻撃を受け止める。 するとノーヴェは徐々に距離を詰めていき、薙ぎ倒すかのような水面蹴りを放つ …がスバルは飛び跳ねて回避、更にウィングロードにて空を滑走しノーヴェも負けじとエアライナーでスバルの後を追った。 スバルは後ろから追いかけてくるノーヴェに対し目線だけ向けると、 前方に大きく上へと弧を描いたウィングロードを作り出し滑走、後ろを取ろうとした、 …がノーヴェはエアライナーを右へ弧を描くように伸ばしそのまま滑走 そして弧を描いた先にある直線部分のウィングロードへエアライナーを交差させて、そこを目標に右拳を握り始めていた。 だがスバルは直線部分のウィングロードを捻らせて逆さまになって滑走 ノーヴェの攻撃を回避すると、更に右斜め上へと弧を描くように伸ばして滑走 ひねり込むようにしてノーヴェの下へ向かい攻撃を仕掛けるが ノーヴェは加速して更にエアライナーを上に向けて弧を描き滑走、スバルの攻撃を強引に回避した。 「くぅ!やるなぁ!」 スバルは一つ舌打ちを鳴らしながら後ろに気配を感じ振り向くとノーヴェが追いかけてきており、 右腕をかざして光弾を撃ち出そうと構えていた。 するとスバルはついて来いとばかりに急上昇、更に鍔を返すように急下降して、廃ビルの群の中へと突撃 ゴミを撒き散らしながらビルの裏路地を走り、カーブ部分ではウィングロードの面を斜めにして縫うように滑走、 そのまま大通りを抜けてウィングロードを上空へ向かうように伸ばし一気に上昇 ノーヴェも後に続くと、スバルは大きく弧を描き、ノーヴェは逆さまになってスバルとは逆方向に弧を描くと ウィングロードとエアライナーの先端がぶつかり合い、ノーヴェは右拳を構え振り抜くが、スバルは右手で受け止める。 しかしノーヴェは左ハイキックをこめかみに向け蹴り上げるが、スバルは腰を落とし頭を下げてて回避 そしてマッハキャリバーを用いて逆時計回りでスピンしながら左裏拳をノーヴェの腹部を打ち抜こうとした。 ところがノーヴェは左ハイキックの態勢から右足を逆時計回りにスピンさせて、左回し蹴りに切り替えてスバルの裏拳を受け止める。 互いの一撃は互角であったが、ノーヴェは踵に取り付けられているジェットエッジのブーストを点火し、 噴射の力を利用してスバルを高速道路に向けて吹き飛ばすがスバルは途中で態勢を立て直し着地、構え始める。 スバルの反応にいらつきを見せているノーヴェは高速道路に降りると、 その足でスバルに向かい左拳を振り下ろし、更に振り上げるストームトゥースを打ち抜くのだが スバルはスウェイバックを用いてノーヴェの攻撃を回避しつつ右腕のスピナーが回転、リボルバーショットを撃ち抜く するとノーヴェは右腕を盾にしてリボルバーショットを防ぎ分散させると、お返しとばかりに光弾を連射する ノーヴェの攻撃に対しスバルは右にウィングロードを伸ばし回避しつつノーヴェの頭上でウィングロードを途切れさせ 飛び降りる形で右足によるかかと落としを狙うがノーヴェは左に回避お返しとばかりに右のミドルキックを決めようとする だがスバルはウィングロードにてノーヴェの蹴りを防ぎ 更にウィングロードはスバルを中心に半月を描くと、そのままスバルは右足を乗せる そして左足の右回転と右足を加速させた高速スピンによる回し蹴りがノーヴェのこめかみに突き刺さり ノーヴェはそのまま吹き飛ばされ対面の高速道路の壁に激突した。 そしてスバルの目の前で土煙が舞う中でノーヴェがゆらりと起き上がりスバルを睨みつける。 スバルの実力はノーヴェが考えていた以上に向上していた。 しかも地上本部壊滅の際に起動させた戦闘機人の能力を使わずにである。 更にいえばエアライナー、いやウィングロードの使い方が今までとは全く異なっている。 何故此処まで強くなっているのかは分からないが、どちらにしろ此処で負ける訳にはいかない、 そう考え腹を決めるノーヴェ、一方でスバルもノーヴェの動きに対して考えていた。 ノーヴェの動きはギンガの動きを模倣した印象を受けていた。 恐らくギンガとの模擬戦によってノーヴェが参考したのであろう。 しかしギンガ程の鋭さは無く荒削りなところも多い、 しかし…打撃を主としたシューティングアーツを蹴撃に変えてある発想は驚くものがある。 それでも此方は本家、更には創始者との実戦も行っている…負けるハズがない そんな事を考えているとノーヴェのジェットエッジから一対の黄色いエネルギー翼が展開される。 その姿はまるでA.C.Sドライバーを彷彿しており流石にスバルも驚きの様子を隠せないでいた。 「A.C.S!ドライブイグニッション!!」 ノーヴェは一気加速してスバルに迫ると右ハイキックにてスバルのこめかみを蹴り抜き吹き飛ばす だがスバルは高速道路の壁に激突する前に止まりノーヴェを睨みつけるが既に姿は無く 目の前に姿を現すと右回し蹴りにて今度は脇腹を蹴り抜き、またもや吹き飛ばされる。 だがノーヴェは追撃とばかりにスバルを追いつき右の踵落としの体勢を取っていると スバルのマッハキャリバーから一対の魔力翼A.C.Sドライバーを起動させて 左足を軸に腰をひねり右拳をノーヴェの鳩尾に叩き込むとそれと同時にノーヴェの踵落としが左肩に入る。 しかしスバルは気にすることなくA.C.Sドライバーを起動させて一気に加速、そのままの体勢で高速道路の壁に叩き付けた。 そしてスバルは距離をあけると、飛び出す形でノーヴェが現れ右のミドルキックでスバルの腹部を狙うがプロテクションにて止められる。 しかしノーヴェはジェットエッジのブーストを点火させて威力を高めプロテクションを打ち砕くが スバルはA.C.Sドライバーを用いて後方へ回避 ノーヴェは追いかける形でA.C.Sを起動させるが、スバルは鍔を返すように突進、 右腕のスピナーが回転し始めるとノーヴェもまた左足のスピナーを回転させる 「ブレイクギアァ!!」 「リボルバーキャノン!!」 互いに気合いを込めた一撃をスバルは右側に広げたプロテクションで、ノーヴェは右腕のガンナックルを盾にして受け止めた。 するとノーヴェはブーストを点火させて一気にプロテクションを破壊、スバルの頭部にノーヴェの一撃が迫る中、 スバルはガンナックルを破壊、ノーヴェの懐に素早く入り込みノーヴェの一撃から間一髪逃れると 左拳を開き手の平の中で増幅・加速させた魔力球をノーヴェの腹部に押し込め、更に突き上げるかのように持ち上げる。 「一撃必倒!!ディバインバスタァァァァ!!!」 左手から繰り出されたディバインバスターはノーヴェの体を持ち上げ更に高々と上っていき背後にある廃ビルに激突、 ノーヴェは壁にめり込む形で意識を失うと、スバルはギンガの立つ場所に目を向ける。 ギンガは一部始終残さず見ており、組んでいた手を解くと左手を伸ばし手招く、 それを見たスバルは気合いを入れ替えるように目を鋭くさせて、ギンガが待つ場所へ足を運んだ。 一方でティアナはウェンディとディエチの相手をしていた。 ウェンディはライディングボードの面に対消滅バリアを張り滑走、そのままティアナに迫るが ティアナは左に飛び跳ねるように回避、そしてウェンディ目掛けて右のクロスミラージュから魔力弾を撃ち鳴らすが ウェンディは乗ったままライディングボードを傾けそのまま魔力弾を防ぎ難を逃れる。 一方でディエチは廃ビルの屋上に位置を陣取り、イノーメスカノンにてティアナを狙撃しようとしていた。 しかしティアナに隙が無く、此方の位置を把握した上でウェンディと対戦しているようである。 それを証拠に先程イノーメスカノンから誘導性を持つエネルギー弾を大回りで撃ち込んだところ、 ティアナの左のクロスミラージュから魔力弾を撃ち抜き相殺させたのだ。 そして今もウェンディと交戦しながら此方に警戒している、むしろ隙あらば狙ってきそうな気配がある。 だがウェンディには援護は必要不可欠、何故ならウェンディが追加された能力は突撃による接近戦が主 此方が相手の動きを牽制する事で、発揮する能力である。 …それにウェンディは細かい誘導などが性格的に苦手で猪突猛進バカである。 まぁ、そこが可愛さなのではあるが今は相手が悪い、現にウェンディの突進は軽々と避けられ、 エリアルショットとフローターマインは相殺、エリアルキャノンも簡単に避けられ更には反撃を食らっているという状況なのである。 「だぁぁぁ!強えぇぇぇッス!!」 ウェンディは髪を掻き揚げながら文句を叫び、その行動に言いようの無い目で見つめるティアナ。 …今までで一番やりづらい…しかし後方にいる戦闘機人の事もある、 きっとあの行動は此方の油断を誘う為の罠なのではないだろうか? となれば隙を見せる訳にはいかない、そんなことを考え気を引き締めている中で 当のウェンディはエリアルキャノンを発射、ティアナは高々と飛び跳ねて回避すると 高速道路の壁に足をかけて飛び降り、それを見て後を追うウェンディ。 そして高速道路の壁に足をかけてウェンディは下を見ると、左のアンカーショットを廃ビルの壁に撃ち込み 右のクロスミラージュで窓を撃ち割り、弧を描きながら廃ビルの中に入り込もうとしていた。 それを見たウェンディは「させないッス」とばかりにエリアルショットを撃ち込むが ティアナは相殺しながら廃ビルの中に身を隠す。 「くっそぉ!!後を追うッス!!」 「待って」 ライディングボードに足を掛けて飛び乗ろうとした瞬間ディエチが止めに入り、 妙案があると言ってディエチはイノーメスカノンのエネルギーをチャージを始める。 そして誘導と反応炸裂の特性を添加させるとチャージを完了させた。 「行け!」 イノーメスカノンから撃ち出されたエネルギー砲はティアナが侵入した窓へと向かい入り込むと 反応炸裂効果により廃ビルのフロア全体を爆発、 暫くして被爆した廃ビルの路地裏からティアナが逃げるように姿を現し、 それを目撃したウェンディはライディングボードに乗りティアナに迫る。 「オレンジ頭!覚悟しろッス!!」 ウェンディとティアナの距離がどんどんと狭まり、真後ろ付近まで近づくと対消滅バリアを盾前方に集め刃に変えて一気に突撃する。 するとティアナは陽炎のように姿を消し、思わぬ反応に目を大きく開き困惑するウェンディ。 そして今までの戦闘を遠くで目撃していたディエチは思わぬ結果にティアナを捜そうと立ち上がった瞬間、 首の根っこ…つまりは延髄のところに堅くて冷たい物を感じ動きを止める。 するとディエチの後ろからティアナがゆっくりと姿を現し始める。 ティアナは廃ビルに潜り込んだ後、一階に降りてフェイクシルエットで自分の分身を作り出し 更に自身をオプティックハイドで包み込み身を隠すと、廃ビルに衝撃が走り それを合図に分身を走らせて、更に自分はディエチのいる廃ビルに向かいアンカーショットで屋上まで上り ゆっくりとディエチの背後に近づき左のクロスミラージュを向けたという事である。 「これで終わりね、あなたを逮捕する!」 「ディエチ姉!!」 「動かないで!!」 ウェンディが上空からディエチを助けようと迫っていると ティアナは右のクロスミラージュを向け制止を促し目を向ける。 その時、ディエチはティアナの目線がウェンディに変わったことを察し 頭を下げ腰を下ろし低姿勢をとりながら左に高速回転、そして右足でティアナを蹴り飛ばし 腰に添えてあったスコーピオンに手を伸ばし撃ち抜く。 しかし全てとっさの動きであった為に命中率低く、ティアナの足下を撃ち抜のみであったが威嚇としては十分であった。、 その為ティアナは危機感を感じ、屋上から飛び降りて先程と同様に アンカーショットと魔力弾を用いて足場であった廃ビルの中へと飛び込んだ。 ティアナを逃がしたディエチであったが、すぐさまウェンディを呼びつけ 自分を乗せてティアナを追うように指示すると、ウェンディは頷きライディングボードを駆りティアナの後を追う。 その時ウェンディの後ろに乗っているディエチは考え事をしていた。 …あの女は姿を消したり自身の分身などの幻術を多様に使用する。 此処で逃がせばまた幻術を使われ動きが把握出来なくなってしまう。 そんな事を考えているとライディングボードの動きが急に止まり ディエチはウェンディの背中に額をぶつけ、手で額を撫でながらウェンディに問い掛ける。 「どうしたの?急に止まって」 「ディエチ姉…アレ……」 ウェンディは驚いた様子で目先を指で指すとその方向をじっと見つめるディエチ、 二人の目の前には多数のティアナが二丁のクロスミラージュを向けて佇んでいた。 「うっうわあああ!!撃ってきたッス!!!」 「落ち着きなさい!ウェンディ!!」 ティアナのシューティングシルエットから無数の魔力弾が襲い掛かり、ウェンディはライディングボードを横に傾け盾にして攻撃を防ぐが ウェンディは慌てふためいており、ディエチはウェンディを窘めるように叱りつける。 恐らくアレは幻術の類、故にウェンディの目に搭載されている索敵センサー 特に赤外線センサーを用いて調べるように指示、早速ウェンディはディエチの指示通り赤外線センサーに切り替え盾の向こう側を調べる。 そしてシューティングシルエットの中に移動する物体を発見し、ウェンディはディエチに伝える。 「ディエチ姉!此処から二時の方向に発見ッス!」 「分かった」 ディエチは一言で答えると盾にしているライディングボードからスコーピオンだけを覗かせ、実弾を連射させる。 スコーピオンからは勢い良く薬莢が排出されていき、その一つがウェンディの頭を直撃したらしく熱さと痛さに頭を押さえていた。 一方でティアナはスコーピオンから発射された実弾を回避、 または左のクロスミラージュで撃ち落としながら近くにあった剥き出しの柱を盾にして隠れ込む。 そして使い切った右のカートリッジバレルを取り出し新しいのに入れ替え、ロードしながら左のクロスミラージュで牽制を促す。 その行動の最中、ティアナは二人の行動を分析していた、 濃いピンク髪の方はスバルと同じ猪突猛進型で考えるより行動なタイプ、自分にとっては楽な相手である、 だがもう一人の茶色の髪方は冷静沈着で頭の回転も早い、故にピンク髪の暴走を止める事が出来るようである。 「さて…どうしようか?」 左のクロスミラージュを撃ち終わりティアナ一言呟くと素早く柱に隠れ 空になった左のカートリッジバレルを排出、新しいのに入れ替えロード 足下に魔法陣を広げてクロスファイアの体勢に入ろうとした瞬間 左右から大きく弧を描いてエネルギー弾が迫ってきており、ティアナはクロスファイアを中断 すぐさま両銃を向けてエネルギー弾を相殺、その場から避難すると今まで存在していたライディングボードが無いことに気が付く。 するとティアナの後方からウェンディがライディングボードに乗って姿を現し ライディングボードの先端部分には対消滅バリアがまるで両刃のように形取ってティアナに迫る。 しかしティアナはすぐさま転がるようにして回避すると、ウェンディはライディングボードから降りて手に持ちそのまま振り抜いた。 「とぉぉぉりゃあああッス!!!」 ウェンディは気合いと共に次々に振り払い、柱を切り裂き、壁を砕き、床を貫き、ティアナを窓まで追いつめると、 覚悟とばかりにライディングボードに乗りティアナに迫る。 だがティアナはクロスミラージュをダガーモードに変えて目の前で交差、 ウェンディの突進を受け止めようとするが、抑えきる事が出来ず窓を突き破り外へと飛び出す。 …このままでは地面に激突する、其処でティアナはダガーモードを解除、 アンカーショットを壁に撃ち抜き登り始め、開いている窓へ飛び込もうとした。 しかしその先にはディエチがスコーピオンを構えていた、彼女の後ろには大きな穴が空いており、 どうやらウェンディを囮にして先に上へと移動、指示を促しながら此処へ誘導されていたようである。 「くっ!!」 「遅い!!」 ティアナは右のクロスミラージュをディエチに向けるが、既にスコーピオンを向けていたディエチには叶わず流石に覚悟を決める。 しかし次の瞬間、ディエチの後方から無数の魔力の矢が襲い掛かり ディエチの身を掠め、両肩・腿・腕を貫き、前のめりで倒れると背中には多数の矢が突き刺さっていた。 そしてディエチを貫いた矢はティアナにも襲いかかり、魔力弾を撃ち鳴らし次々と相殺していった。 そしてディエチの後方には一つの影が佇んでいた、エインフェリアの一体リディアである。 「一石二鳥……とはいかなかったか」 「ディエチ姉!!」 リディアは残念そうな表情を浮かべる中、ライディングボードを駆りディエチの下へ急ぐ そしてウェンディはディエチの姿に慌てふためいていると、其処にティアナが現れディエチの様態を調べる。 ディエチの様態は思わしくないが、どうやら急所だけは免れた様子であった。 その内容にウェンディはほっと胸をなで下ろしリディアは舌打ちを鳴らす、 その音を耳にしたウェンディはゆっくりと立ち上がり怒りの眼差しで睨みつけていると ティアナも立ち上がりリディアにクロスミラージュを向け始める。 「手伝ってくれるんッスか?」 「あなた一人じゃ勝てないでしょうから」 それに利害も一致している為、一時休戦が妥当であるとティアナが提案すると ウェンディは腕を組み考えるポーズをとりながらも直ぐに二つ返事で答え 余りにもの判断の素早さに苦笑いを浮かべるティアナ。 先程まで命のやりとりをしていた相手の提案を素直に受け取る、 何も考えず答えたのか、それとも利用出来ると踏んだからなのか…どちらにせよ戦力としては十分な相手である。 「宜しくッス!え~っと……」 「ティアナよ」 ティアナは名乗るとウェンディも自分の名を名乗って左拳を作り、ティアナは右手にクロスミラージュを持ちながら 軽く拳を合わせ挨拶を交わすと目の前にいるリディアと対峙するのであった。 場所は変わり東地区パークロード、地雷王によって破壊された施設上空ではエリオがガリューの相手をしており、 デューゼンフォルムを起動させて飛び回りつつ攻撃を仕掛けていた。 しかしエリオの攻撃は直線的でガリューのような単独で飛行できる相手では分が悪い、 それでもエリオは破壊された施設を足場にしてUターンを行ったり、バーニアの逆噴射を利用したりと奮闘していた。 一方でキャロはフリードリヒに乗りルーテシアと戦闘を行っていた。 ルーテシアはクールダンセルを唱えると目の前に氷人形が現れ、キャロに襲い掛かるが キャロはフリードリヒにブラストレイを指示、巨大な火球がクールダンセルを溶かし ルーテシアに迫るが、左手を払い衝撃波を放ちブラストレイを相殺、 更に右手からファイアランスを放つとキャロは手の甲の魔力の翼から魔力弾シューティングレイを撃ち抜き相殺させた。 そんな攻防戦を繰り広げている中でキャロはルーテシアの説得に努めていた。 「どうして!どうしてこんな事をするの!!」 「博士の命令だから」 「命令だからって……命令なら人を殺してもいいの!?」 キャロの言葉にルーテシアは小さく頷く、今まで自分はそういう風に生きてきた、 それに自分には目的がある、それを叶える為には博士やドクターの協力が不可欠 博士達も自分の力を必要としている、お互いが利用し合う事で協力体制を保っていると語る。 キャロは困惑していた、人殺しをしても叶えたい目的とは一体… 興味本位…一言で言えばこれに尽きるが、それでも罪を背負ってでも叶えたい目的とは何か キャロは恐る恐るルーテシアに問い掛けてみる事にした。 「アナタの…それ程まで叶えたい目的ってなに?」 「………………お母さんの病気を治す為……」 ルーテシアは一言答えるとしばらく沈黙し、意を決した様に言葉を口にし始める。 母は重い病気を患っており、治すにはレリックが必要不可欠であると 母を救う事が出来れば一緒に暮らす事が出来る、 だから…その為であれば、たとえ自分の手を血に染めても構わない ルーテシアは凛とした表情でキャロ達を見つめ説明を終えると、 ガリューと戦闘を行いながらルーテシアの話を聞いていたエリオが叫ぶように応える。 「そんなのは間違っている!そんな事で救えても君のお母さんは喜ぶハズが無いよ!!」 それにあの男…レザードやスカリエッティが言った言葉が本当である保証は無い それに治療法はそれ一つではないハズ、きっと他の治療法があるハズだ だからこの場を納めて欲しい、これ以上母の為にと罪を重ねて欲しく無い… エリオの悲痛な願いが込められた言葉には偽りの色は無く、本気でそう考えている事がルーテシアに伝わる中で、 エリオの説得に呼応するかのようにキャロが説得を促す。 「私達が!アナタのお母さんの治療法を見つけるから!!」 その言葉にルーテシアは動きを止め俯くと小刻みに震え始める。 ルーテシアの変化に自分達の想いが伝わったと考えたキャロはフリードリヒに命じルーテシアに近づき、 右手をルーテシアの肩に伸ばし優しく触れるとルーテシアもまた右手でキャロの手を取る。 …しかし次の瞬間、ルーテシアはキャロの手首を強く握り締め、その痛みに苦痛を浮かべつつキャロは戸惑っていると ルーテシアは顔を上げ怒りに満ちた表情を浮かべていた。 「じゃあ聞くけど…どうやってお母さんを助ける気なの!!」 「そっそれは……」 キャロはルーテシアの質問に答える事が出来ず沈黙すると その反応にルーテシアは怒りを通り越し憎しみに満ちた表情を浮かべフリードリヒから引きずりおろす。 するとフリードリヒはキャロを助けようとルーテシアに襲い掛かるが、 左手からライトニングボルトを撃ち出され呆気なく撃ち落とされる、 その光景にエリオはキャロの元へ向かおうとしたが、ガリューに行く手を阻まれ苦虫を噛む表情を浮かべ キャロは右手を掴まれたまま宙を浮かせられている中で、ルーテシアは吐き捨てるかのように言葉を口にする。 「答えられないの?そうよね…所詮はただのその場任せの言葉だものね!!」 キャロはルーテシアの答えに反論できず沈黙を続ける中で更に話を続ける。 …所詮貴女達は私を哀れんでいるだけ、確かに方法は一つだけじゃ無いかもしれない。 だが他の方法を見つからない事だってある、その時貴女達はどうするつもりなの? レリックはロストロギアである、つまりレリックを用いた治療法は管理局は許さない。 だが博士達はレリックを安全なエネルギー資源に変える事に成功している。 つまり安全なレリックを実現させた今、管理局よりも博士達の方が母を助ける事が出来る可能性が高い。 だから自分は博士達について行く、どれだけ手を血に染めても母が助かる可能性を信じて…… 「そんな易い言葉で……私を惑わすな!!!」 そう言うとルーテシアはキャロを投げ飛ばし、地に向かって落ちていく中、気が付いたフリードリヒがキャロをその身で受け止め、 キャロはフリードリヒに礼を述べつつルーテシアを見上げると ルーテシアは決意ある瞳で見下ろしており、その姿に戸惑いつつも更に説得を続ける。 「だからって自分の我が儘の為に召喚獣をこんな風に操るなんて! 彼等は道具じゃない!彼等だってこんな風に使役されたくないと思っているハズだよ!!」 「……また哀れみ?それに…ガリュー達は自分達の意志で私に使役されている」 ルーテシアの台詞に呼応するように他の場所で戦っているガリューは小さく頷き、それを目撃するエリオ。 しかしガリューの考えはそれだけではなかった、ガリューはルーテシアの母メガーヌの真相を知る存在である。 だがガリューはルーテシアに真相を話す事は無かった、何故ならもし真相を知れば、ルーテシアは逆上しレザードに襲いかかるだろう。 しかしガリューはレザードの実力を鱗片とはいえ知っており、十中八九返り討ちに合う。 それは前のマスターであるメガーヌが望むところでは無い… 故に仇をとる事より生きる事を優先させたのである。 しかしガリューはスカリエッティ、ましてや仇であるレザードの為には動かない。 結果的にあの二人に力を貸す事になっても、自分のマスターはルーテシア只一人である。 その誇りを持ってガリューは行動しているのである。 話は戻り、たとえ犯罪に協力する形であっても決して絆を断ち切られる事は無い そう強くルーテシアは言葉を口にする、しかしそれでもキャロは納得した表情を浮かべる事が出来なかった。 「それでも…私はアナタにこれ以上手を汚して欲しく無いの!!」 「これ以上の問答は…無意味ね」 ルーテシアは呆れた様子を浮かべると右手を下にかざし足元に巨大な召喚魔法陣を広げ キャロもまた足元に巨大な召喚魔法陣を広げ詠唱を始める、そして―――― 「邪竜召喚…ブラッドヴェイン!!」 「龍騎召喚…ヴォルテール!!」 互いに巨大な竜を召喚すると肩に乗り対峙する。 先ずはブラッドヴェインは巨大な炎を吐きヴォルテールを包み込むが、 元々火竜であるヴォルテールには効かずブラッドヴェインの下へと迫る。 其処でブラッドヴェインはヴォルテールに向けてイグニートジャベリンを放つが、 ヴォルテールは平然と受け止めつつブラッドヴェインの懐に入ると、その鋭利な爪でブラッドヴェインの皮膚を切り裂く。 しかしブラッドヴェインはキュアプラムスを唱え傷口を瞬時に治す キュアプラムスとはレザードがいた世界で使われている治癒魔法でその治癒能力は目を見張るものがある。 そして傷を癒やしたブラッドヴェインは左拳でヴォルテールの顔面を強打 更に右のフックに左のアッパーという連打を叩き込み顎を跳ね上げると、勝機とばかりに追い打ちを掛けようとした。 だがヴォルテールは両手を合わせ巨大な拳を作り上げると一気に振り下ろしブラッドヴェインの頭部を強打 ブラッドヴェインの癖である優勢の場合に起こる油断をつかれた為、なす統べ無く大地に叩き付けられた。 そしてヴォルテールを見上げる形でブラッドヴェインは位置に立つとルーテシアはグラビディブレスを指示、 ルーテシアの行動を見たキャロはグラビディブレスに対抗する為、ヴォルテールにギオ・エルガを指示する。 ブラッドヴェインは詠唱を始め目の前に黒い球体を生み出し、ヴォルテールもまた地上の魔力が集まり 目の前で強力な炎が集まっていく、そして準備が整うと互いに手を向けて発動させた。 「グラビディブレス!!」 「ギオ・エルガ!!」 両者の広域攻撃魔法は放たれ両陣営の中心でぶつかり合い、広範囲に渡って炎と雷が混じった衝撃波が辺りを吹き飛ばす。 その中でブラッドヴェインはヴォルテールの懐に飛び込むと右拳でヴォルテールの左頬を殴りつける。 だがヴォルテールは怯むことなく左アッパーでブラッドヴェインの鳩尾辺りを殴りつけ、 ブラッドヴェインは体を九の字に折るが、臆すること無くヴォルテールの左の二の腕に噛みつき肉を引き千切る。 左の二の腕から大量に出血する中で、ブラッドヴェインは素早く弧を描く様に回転、巨大な尻尾でヴォルテールの腹部を強打した。 ブラッドヴェインの攻撃は重く九の字のまま吹き飛ばされるヴォルテールに、追い打ちとばかりに迫り右拳を振り下ろし 更に右拳を押し込み、その巨体を大地に突き刺し、巨大なクレーターを生み出すと ブラッドヴェインは飛び立ちキュアプラムスで傷を治しつつプリズミックミサイルを撃ち込んだ。 だがヴォルテールはゆっくりと立ち上がりブラッドヴェインを睨みつけようとしたが体が言う事を聞かず膝を付き 更に体全体も重く体力が削られていくのを感じていた。 どうやら先程受けたプリズミックミサイルによって麻痺と毒を貰ったようである。 其処でヴォルテールの苦しみを取り除こうとキャロは治癒魔法を掛けている中で、未だにルーテシアの事を諦めきれずにいた。 だがルーテシアには強い決意と意志がある、自分達では説得出来ない、 このまま戦うしかないのか…そんな矢先、周囲に大きな声が響き渡る。 「ルゥゥルゥゥゥゥゥッ!!!」 「……メル……姉?」 ルーテシアは声が響いた方向へ目を向けると其処には黄緑色の長い髪に 左手には金の腕輪、右手にはユニコーンズホーンを携えた人物メルティーナが佇んでいた。 メルティーナは地上部隊の援護を行う為に本局から派遣されたのだが キャロとルーテシアの会話を聞き、その話の内容に怒りと言うより呆れ果て、 ルーテシアを叱りつける為、そして真相を話す為に此処へ赴いたのである。 「メル姉―――」 「ルールー!この大バカ!!」 メルティーナの怒りにルーテシアは身を竦めると呆れたようにメルティーナは真相を話し始める。 先ずメガーヌは病気などになっていない、メガーヌはレザードの手によって魂を抜かれた状態であると、 次にレリックであるが、レリック自体は高エネルギー結晶体、 たとえ安全なエネルギー資源になったとしても傷はともかく病気を治す確証など無いと 最後にメガーヌを助け出す方法であるが、既に実行していると告げる。 メルティーナの同期にアリューゼと呼ばれる人物がおり、彼は常にゼストとメガーヌの魂を御守りとして身につけているという。 その彼は今ゆりかご内に潜入していている、目的はゼストに会う事であるがそれだけではない。 五年前のゼストの行動とその際にルーテシアが念話で告げた言葉、そしてレザードとスカリエッティへの協力、 それらを統合すればゆりかご内にはメガーヌの肉体が存在しているという考えに至る。 そしてアリューゼならメガーヌを助ける事が出来る、寧ろ助けだそうとするだろうとルーテシアに力強く告げた。 「つまり!ルールーは騙されていたのよ!!」 メルティーナはルーテシアに杖を向け断言するとルーテシアは俯き頭を押さえ 必死に何度も横に振りメルティーナの言葉の前に混乱していた。 何故ならここで認めてしまえば自分がしてきた事は無意味になる、 それだけではない、その為に沢山の人々を殺してきた、 人を殺すのは罪である、しかしルーテシアは自分の目的を名目として罪を背負ってきた。 しかし今、その目的が偽りで自分の行動が無意味であった事を知る事で 本来の罪の重さが全身にのし掛かり、その苦しみから逃れる為メルティーナの言葉を必死に否定し始める。 「そんな………そんなの嘘だ!!」 「何言ってんの!私の言葉が信用出来ないの!!」 「だって…メル姉は本当の姉――」 「いい加減にしな!!!」 ルーテシアは必死に否定の言葉を浮かべるがメルティーナは一喝すると、身を竦め動きが止まり言葉を紡ぐ、 その行動にメルティーナは目を瞑り暫く沈黙すると、意を決した様に言葉を口にする。 「血が何!確かに血は繋がっていないけど………アンタは私の“妹”なのよ!!」 自分にとって大切な“妹”がその手を血に染め罪を重ねている、しかも誤った情報に踊らされて… 罪は償わなければならない、だからルーテシアを止める、局員として姉として…… 凛とした表情でメルティーナは言葉を口にし、ルーテシアはその瞳に迷いも偽りも無い事を知ると、不意に涙がこぼれ始める。 それは今まで押し殺してきた感情が溢れ出した結果であり、 己が罪を認め今まで着込んでいた鎧を脱ぎ捨てた結果である。 「ご…めんな………さいごめん…な……さい」 そして何度も何度も声を引き付かせながら謝罪を口にすると、周囲に低い声が響き渡る。 前へ 目次へ 次へ
https://w.atwiki.jp/nanoharow/pages/621.html
H激戦区/人の想いとは ◆gFOqjEuBs6 このデスゲームに於いて、ホテル・アグスタという施設は比較的幸運な方だったと言える。 では、何が幸運なのか。その答えは、他の施設を見れば考えるまでも無く導き出されるだろう。 何と言っても、このホテルは未だ無傷。つい先程まで、誰もこの場所で戦闘を起こそうとはしなかったからだ。 しかし、いつまでもそんな幸運が続きはしない。このホテルにも、破壊の魔の手が迫っていた。 「このっ!」 少女の叫び声と共に、緑の脚が一直線に振り下ろされた。 しかし、緑の脚が標的を捉えることは無く、振り下ろされた踵落としはテーブルを砕いただけだった。 ど真ん中から真っ二つに砕かれたテーブルを蹴って、仮面ライダーキックホッパーは跳ぶ。 標的は、ちょこまかと回避を続ける漆黒の仮面ライダー、カリス。 宙に浮かび、キックの体勢を作るが―― 「うわっ……!?」 カリスアローから放たれた数発の青白い光弾によって、体勢を崩されてしまう。 空中で姿勢を崩したキックホッパーは、そのまま下方へと落下。 したたかに身体を打ちつけるが、そこは仮面ライダーの装甲だけあって装着者へのダメージは無い。 すぐに立ち上がり、構えを取るが――すぐに、後方から羽交い絞めにされる。 「やめてくれ、かがみさん! 俺達は君に危害を加えるつもりはない!」 「なら黙って殺されなさいよ! あんた達全員殺して、私も死ぬから!」 「なんでそうなるの! そんな事言われて、黙ってハイなんて言える訳ないだろ!?」 ヴァッシュ・ザ・スタンピードが、仮面ライダー相手に肉弾戦を仕掛けたのには訳がある。 自分が今装備している武器は、アイボリーとエンジェルアームズのみだ。 アイボリーは残弾5発。しかし、仮面ライダーの装甲には弱点はおろか、目立った亀裂すら見当たらない。 例えばライダーの装甲を解除させる一点を発見するとか、そんなチャンスが到来するまでは残り少ない弾を使う事は避けたい。 そして、エンジェルアームズ。これには、アイボリーよりもキツいリミットが掛っている。 プラントとしての能力を行使すればするほど、ヴァッシュの髪の毛は黒くなって行く。 やがて全ての髪の毛が黒くなった時、ヴァッシュはこの世から消滅してしまうのだ。 既に九割が黒髪化している今、残ったエンジェルアームズは温存していきたい。 そして、もう一つの理由。 「もう、離しなさいよ! セクハラで訴えるわよ!」 「訴えるのはいいけど、その為にはまず生きてくれ!」 我武者羅に腕を振り回し、ヴァッシュを振り払おうとする。 そう。仮面ライダーキックホッパーは、言い分だけでなく、戦闘スタイルも滅茶苦茶なのだ。 油断さえしなければ、戦闘においては素人同然のかがみに負ける事はまず無いだろう。 とりあえず賞金首として扱われていた時期もあったヴァッシュにとっては、セクハラで訴えられるくらいどうって事はない。 いや、出来れば訴えて欲しくは無いが、それ以前にかがみが生き残る事が出来るかが問題なのだ。 それに何より、一度でも会話を交わしたかがみにこのまま死んでほしくは無い。 スバルはスバルで、どうやらカリスと話があるらしい。だからヴァッシュは、かがみを優先して止める事にしたのだ。 キックホッパーに向けて光の矢を放ったカリスへと、素早い回し蹴りを叩き込む少女が一人。 スバル・ナカジマだ。骨折した左腕は使い物になりはしない。故に、使えるのは右腕と脚のみ。 幼い頃からストライクアーツを習得して来たスバルにとって、左腕を使えないと言う状況が如何に不利かは十分過ぎる程に分かっている。 先程のヴァッシュ戦では、極度の怒りと興奮で痛みは感じなかったが、一旦熱が引いた今となっては話は別だ。 固定された状態の左腕は、スバルにとって足かせでしか無い。かと言って無理に動かそうとすれば、左腕に激痛が走る。 当然だろう。内部フレームからへし折られてしまったのだ。応急処置程度で前線に戻れる程、戦闘は甘くは無い。 「仮面ライダー! 貴方はゲームに乗ってるんですか!?」 「乗っていると言ったらどうする」 「止めてでも、ギン姉の事を聞きだして見せる!」 駆け出したスバルが右脚を振り上げ、ハイキックを繰り出す。 IS・振動破砕を発動してのハイキック。入れば、それなりのダメージは望める。 ……筈なのだが、そう上手く事が運びはしない。 スバルのハイキックは、カリスの左腕によって容易く払われてしまう。 (効かない……!?) 「無理だ。そんな身体で、俺を止める事は出来ない」 カリスの言う事は正しい。 いくら振動破砕を発動しているといっても、今のスバルではハンデが大きすぎる。 何せスバルは現在、左腕が固定されているのだ。そんな状況でのハイキックに意味等無い。 本来、パンチやキックと言った打撃系攻撃は、身体全体を使って打ち出す攻撃だ。 決して乱れぬ精密なフォームがあって、初めて打撃系攻撃は力学的な威力を生み出すのだ。 そのフォームが乱れたとあれば、いくらプロの格闘家であろうと威力を出す事は難しい。 それ程にフォームという物は重要なのだ。 ましてや、それが乱れるだけで威力が半減する打撃系格闘技に於いて、左腕が使えない等問題外だ。 左腕無しで本来のバランスを保った状態でのキックなど打てる訳が無いのだ。 仮に左腕に痛みを走らせないよう、無理して打撃を放ったところで、その攻撃に威力は無い。 多少の打撃は覚悟しているであろう相手に……それも仮面ライダーに、そんな状態の攻撃が通用する訳が無いのだ。 それくらいは格闘技をやっているものならば子供でも解る事。 ましてやスバルともなれば、この状況が如何に不利かなど考えるまでも無い。 だけど、それでも止まってはいられないのだ。 「無理じゃない! ギン姉に何があったのか、聞かせて貰うまで私は退かない!」 「ならば教えてやろう。ギンガは殺し合いに乗った俺を救い、死んだ!」 「え……!?」 驚愕と同時に、一瞬だけ動きが止まってしまう。 その一瞬は、カリスにとっては無限にも等しく感じられる、攻撃の瞬間。 漆黒の装甲に包まれた右脚を突き出し、スバルの胸を強打。 蹴りつけられたスバルは後方へと吹っ飛ばされ、その身体を壁へとしたたかに打ちつけた。 「ぐぁ……ッ」 「馬鹿な奴だ! 俺なんかの為に、奴は死んだ! 俺なんかの為に……!」 カリスの声が、震えていた。 まるで、行く先を失った怒りをぶつけるように。 どうしようも無い悲しみを吐き出すように。 先程まで戦う事しか考えない戦闘マシーン同然だったカリスの声が、震えていたのだ。 その声色の変化を、スバルは見逃さなかった。 ふらふらと立ち上がり、緑の視線でカリスを捉える。 その瞳に浮かべるのは、姉にかける想い。姉の想いを踏みにじらぬ様に。 姉に救われ、姉の想いを託されたであろうカリスに、それをぶつける。 「ギン姉は馬鹿じゃない! ギン姉が、無駄な命を救う訳が無い!」 「何を言ってももう遅い! 俺は戦う事でしか、他者と分かりあえない!」 言うが早いか、醒弓を構えたカリスが駆け出した。 刹那の内にスバルの間合いまで踏み込み、その刃を振り下ろす。 命中すれば、首が跳ね飛ぶ。それ即ち、間違いなく即死だ。 されど、スバルは微動だにしない。決して臆さず、決して逃げない。 瞳逸らす事無く、真っ直ぐにカリスを見据えた。 「まだ遅くなんかない! 貴方は、せっかくギン姉に救われた命を、こんな下らない戦いに使うつもりなの!?」 腹から絞り出すような怒号。 醒弓の刃は、スバルの喉元を掻き切る寸前に、止まった。 震える刃。震える腕。ほんの僅かに、カリスの身体が震えていた。 カリスが何を思ったかは、スバルにも分からない。 だけど、カリスがすぐに自分を殺せなかったのは、大きなチャンスだと思う。 「だから! 私は貴方を止めて見せる! 戦うことでしか分かりあえないなら、戦ってでも話を聞かせて貰う!!」 「な……ッ!」 上体を低く屈め、僅かに左脚で壁を蹴った。 僅か一瞬で、腕を突き出したままのカリスの懐へと跳び込んだ。 だんっ! と、左足で地面を踏み締め、太腿で壁を作る。腰を捻って、肩を入れる。 左足で踏み締めた運動エネルギーをそのままに、流れる様なフォームで、上体まで伝える。 今持てる全力を尽くして、ISを発動。拳を回転させながら、真っ直ぐに突き出す。 同時に、ジェットエッジで一瞬だけ加速を生み出した。突き出された拳に、ジェットエッジによる加速が加えられる。 それは、左腕が使えない今、この状況を最大限に活かして繰り出した渾身の右ストレートだった。 「――ぉぉぉぉぉぉぉっぉりゃぁぁぁぁぁッ!!!」 「が……ァ……!!?」 カリスの腹部……ベルトと胸部装甲の間の、比較的装甲の薄い箇所。 そこを目掛け、全力を込めた振動破砕を、全力を込めた右の拳を叩き込んだ。 流石のカリスと言えど、この一撃を受け切る事など不可能だ。 カリスの装甲を通じて、不死生物の体内まで、振動派が叩き込まれる。 その威力は尋常ではなく、かなりの体重差を持ったカリスを、数メートル後方まで吹っ飛ばす程だった。 ◆ 月明かりを閉ざす雷雲が空を埋め尽くし、地上は漆黒の闇に閉ざされていた。 人口の明かりが無くなったこの空から聞こえるのは響く様な雷鳴。 たまに周囲に落下する青白い稲妻だけが、木の影に隠れた金居とはやての顔を照らし出してくれた。 はやては思う。この状況、どうするべきが正解なのだろう? (ようやく見付けたスバルを、こんなとこで失いたくは無い……かといって、無策にあの乱戦の中に入る訳にはいかへん。 スバル達はまだエネルに気付いてないみたいやし……あかん、このままやったら皆エネルに殺されてまう……!) エネルとの戦いか、仮面ライダー同士の戦いへの介入か。 出来る事ならば、スバルだけを味方として獲得し、そのままエネルに気付かれる事無く何処かへと逃げ去りたい。 しかし、それをするにはあのライダーバトルの真っただ中に介入せねばならないのだ。 今の戦力で無策にあの中に入るのは自殺行為に等しいし、かといってエネルとの戦いは論外だ。 幸い、まだエネルはこちらには気付いていないようだが…… 「金居さんは、現状をどう思いますか」 「ジョーカーとあの仮面ライダーだけならまだしも、あの雷男まで相手にするのは御免被りたいな」 金居は金居で、エネルの脅威については本能的に感じ取っているらしい。 だが、その言葉は同時に金居の戦闘力のレベルを窺い知るためのヒントにもなり得る。 金居は「あの黒のライダーと緑のライダーの二人までなら戦える」と、そう言ったのだ。 キングとは違い、冷静な金居がただの自信だけでものを言うとも思えない。 つまり、金居の戦闘力はそれなりのものという事だ。 (それなら、この男もまだここで失う訳にはいかへんな) 出来る事なら、金居をキープしたままでスバル(とその仲間?)の戦力を確保したい。 その為にも、スバルと交戦しているあの黒のライダーを確実に倒して、先に進みたい所だ。 だが、それをする為にはやはりエネルがネックになる。この分じゃエネルがホテルに到達するまでに時間はあまりかからない。 エネルがここに来るまでに、何とか状況を変えたいが…… 「おい、八神」 「何ですか?」 「あれを見ろ」 森林に多くそびえ立つ木々の影から、金居がそっと手を伸ばす。 その先にいるのは、雷光に照らし出された神・エネル。そして、その奥にもう一人。 漆黒の騎士甲冑は、まるでなのはのバリアジャケットをそのまま黒くしたようなイメージを抱かせる。 サイドポニーに纏めたプラチナブロンドの髪が、ゆらりと揺れるその姿は、なのはに良く似ていた。 しかし、その立ち居振る舞いはなのはとは全く違う。どこか不気味な、生気を感じさせない歩み。 死すらも恐れて居ない様な足取りで、一歩、また一歩と歩を進めているのだ。 まるで死神の様な姿ではあるが、しかしはやてはその姿に見覚えがあった。 ◆ 今の一撃は効いた。 もしも万全の状態で放たれたなら、一撃で変身解除まで追い込まれていたかもしれない。 それ程の激痛を伴う一撃。まるで身体を内側からブチ壊されたような、凄まじい威力。 スバルのIS、振動破砕による爆発的な攻撃力によって、カリスの身体は吹き飛ばされた。 硬いコンクリートの床に叩き付けられたカリスの身体は、思う様に動かない。 アンデッドの回復力をもってすれば、これくらいはすぐに回復出来るだろうが……今すぐに戦線復帰するのは、少し厳しい。 赤い複眼を持ち上げて、こんな芸当をやってのけてくれた娘に視線を向ける。 「もう止めて下さい……手応えは確かに感じました。貴方はこれ以上戦えない!」 「貴様……、あくまで俺を殺さないつもりか……ッ!」 「ギン姉に救われた貴方の命を、妹の私が奪う事は出来ない…… だから、聞かせて貰う! ギン姉と貴方の間に何があったのかを!」 真っ直ぐな瞳で、真っ直ぐな想いを自分へとぶつけるこの女。 ああ、やはり見覚えがある。つい数時間前まで一緒に居た、何処までも強い女と同じ目だ。 その後に出会った浅倉威にも、柊かがみにも、ギンガと同じ意志の強さは感じられなかった。 この殺し合いで、もうあんな人間に会う事は無いだろう。会ったとしても、関わる事はないだろう。 そう思っていたが、運命とは何と皮肉な事だろう。 この短時間で、再びこの瞳に出会ってしまうとは。 「……これから殺す相手に教えても、意味がない」 「まだそんな事を……!!」 言ってはみたものの、今すぐに再び立ち上がってスバルを殺す事は、無理だ。 何よりも振動破砕の威力が大きすぎる。この身体がアンデッドのものでなければ、どうなっていたか分かった物じゃない。 そして第二に、この女の目を見ていたら、この女の言葉を聞いていたら、ギンガを思い出してしまう。 それが研ぎ澄まされつつあった闘争本能を、内に潜むジョーカーの感覚をどれだけ鈍らせる事か。 同時に、ギンガ達の存在が自分の闘争本能を鈍らせると自分自身で理解出来てしまうのが、どうしようもなく悔しかった。 「殺されるのが嫌なら、俺を殺せ。そうすれば、全て終わりだ」 「そうやって、逃げるんですか!?」 「何、だと……?」 逃げる? こいつは一体何を言っているんだ。 最強のアンデッドたるこの俺が、一体何時、何から逃げたというのだ。 ハートの複眼に捉えるは、決して鈍らない信念を瞳に宿したスバルを捉える。 その目は何処か怒っているようで、不思議な気迫を感じさせた。 「嫌な事から、怖い物から、戦わずに逃げる事は簡単だよ。でも、それじゃダメなんだ! 戦う事を止めて逃げてしまったら、そこで終わりだ。そんなの、私は絶対に嫌だ!」 「俺が何時逃げようとした」 「死んだら終われるとか、殺されたら自分の責務から解放されるとか…… ギン姉に貰ったたった一つの命を、そうやって投げ出して終わらせるつもり!?」 スバルの怒号に、カリスは言い様のない憤りを感じた。 何と一方的な言い分だろうか。何と一方的な正義だろうか。 それを押し付けられる側がどんな気持かなど、こいつは知らないのだろう。 しかし、そう感じる心はまさしく人間としての憤り。 それに気付く事も無く、カリスは自分の思いを吐き出す。 「お前に何が解る……俺は人間でも無い、アンデッドでもない。俺を知っているのは俺だけだ……! だから言えるのだ! 俺の苦悩、お前などに解りはしないと!」 「わからないよ! 当然でしょう、貴方は何も話そうとしないじゃない! ……それに、人間じゃないのは貴方だけじゃない! 私だって、ギン姉だって……!」 何だと……? ギンガは人間では無い? その妹のスバルも、人間では無い? だが、それは可笑しい。ギンガは自分に言った筈だ。「貴方は人間だ」と。 人間でもない奴が、同じく人間では無い身の自分の人間らしさを証明する? なんと滑稽な話だろう。それで命まで落としてしまったのでは、話にならない。 理解出来ない。ただでさえ馬鹿だと思っていたギンガが、余計に理解出来なくなる。 「人間じゃない……だと……? だがギンガは、化け物の俺を人間だと言った…… そのギンガが人間じゃない……? いや……」 始は思う。それは違う、と。 誰よりも意志の強かったギンガは、何処までも人間らしかった。 そして、誰よりも人間らしかったギンガが、自分を人間だと言ってくれたのだ。 あの優しさは、紛れも無く人間のものだ。 紛い物の自分とは違う、本物の人間の優しさだ。 だからこそ言える。だからこそ断言できる。 「違う……ギンガは人間だ……誰が何と言おうと、奴は人間だった……!」 「それなら、貴方も人間だ! そんなことを言える貴方が、化け物の訳が無い!」 「無理だ! 俺には人間が理解出来ない……ギンガの考えが、理解出来ない!」 問題は凄く単純な事だ。 ギンガの考えが、始には理解出来なかった。 ギンガの行動が、始には理解出来なかった。 何故あの女は、見ず知らずの自分を助けたのだろう。 何故、殺し合いに乗った自分なんかの為に命を投げ出したのだろう。 誰が聞いたって、馬鹿な生き方だ。とても上手い命の使い方とは言えない。 始の心を、無数の「何故」が埋め尽くして行く。 「何故だ……何故……!」 考えれば考える程、頭がパンクしそうになっていく。 ああ、何故目の前の女はこんなにもギンガに似ているのだろう。 守りたいものとか、人間の心とか、そんな綺麗事を並べて戦えば、生物は弱くなる。 生きるか死ぬか、命を掛けた戦いにそのような面倒事は一切不要なのだ。 ジョーカーである自分はそれを最も良く理解している、筈なのに……。 「何故、ギンガは……!」 だが、ギンガはその方程式には当て嵌らなかった。 あの女は誰よりも強く、そして誰よりも気高かった。 戦いに負けたとか、他の誰かよりも戦闘力で劣っていたとか、そういう事じゃない。 自分には無い物。浅倉にも、かがみにも無い「強さ」を、ギンガは持ち合わせていた。 それは目の前の少女――ギンガと同じ目をした少女にも言える事だ。 この強さは何だ? この強さは何処から湧いてくる? 「わからない……わからない……わからない……!」 「ギン姉は――」 ――CLOCK UP―― 「――ぇ……?」 刹那、電子音声と同時に、スバルの身体が吹き飛んだ。 左腕を封じられていたスバルの身体は見事に宙を舞い、そのまま吹っ飛ばされる。 告げようとしていた言葉は結局告げられる事は無く、無限にも等しい刹那の中で、スバルの身体はコンクリの床を転がった。 カリスの頭の中で、何が起こったのかを理解するよりも先に、言い様の無い感情が湧き起こった。 そうだ。この感情と似たものを自分は知っている。 確か、ギンガが死んだ時の……。 Back 絶望の暗雲 時系列順で読む Next H激戦区/ハートのライダー Back 絶望の暗雲 投下順で読む Back きみのたたかいのうた(後編) ヴァッシュ・ザ・スタンピード Back きみのたたかいのうた(後編) スバル・ナカジマ Back きみのたたかいのうた(後編) 相川始 Back きみのたたかいのうた(後編) 柊かがみ Back きみのたたかいのうた(後編) ヴィヴィオ Back Round ZERO ~GOD FURIOUS 八神はやて(StS) Back Round ZERO ~GOD FURIOUS 金居 Back Round ZERO ~GOD FURIOUS エネル